兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年7月25日(1980号) ピックアップニュース

燭心

 ワクチン接種が進むが、変異株感染の問題もあり新型コロナ禍の出口が見えない。新型コロナ禍が明らかにしたのは危機的と言えるまでに格差社会が進行していたということだ。昨年6月の朝日新聞に富豪で起業家のニック・ハノーアーさんが〝米覆う新自由主義コロナで惨状露呈〟というインタビュー記事で述べた。新型コロナウイルスとは別に「40年かけて深まった新自由主義というウイルスがはびこっていた」と▼日本は失われた30年の長期不況の中にいると言われる。立教大学名誉教授小西一雄氏は「コロナ禍による社会的混乱・生活困難はそれ以前の経済原理に起因する」と述べる。売り上げが鈍化し増収が見込めなくなっても大企業は増益を追求しようとする。方法は(1)生産の海外移転、(2)人件費を中心に徹底したコスト削減、(3)本業の事業拡大ではなく金融資産への投資である▼京都精華大学の白井聡氏は〝新自由主義〟について、低成長の中、取り分を増やすにはよそから奪うしかなく、資本家は労働者への分配を減らし、コネを利用し国政の中で火事場泥棒的に利益を上げていく一方で、徹底して国民を分断するものだとする。価値観や感性までも、資本主義によって〝包摂〟され、国民を何の怒りも感じない存在にさせるとも▼新型コロナ禍をきっかけに、私たちは何をすべきか。人間の魂が〝包摂〟されたまま、変わらなければ、腐った政治、新自由主義に打ち勝つことはできない。総選挙も近い。目を覚まして政治を変えよう(無)
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