兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年9月05日(1983号) ピックアップニュース

署名のチカラで歯科診療報酬の大幅引き上げを

 「保険で良い歯科医療を」全国連絡会が、2007年から歯科医療保険制度の改善を求めて2年に1度取り組んでいる歯科請願署名運動は、今回で8回目となる。これまで、新規技術の保険収載、改定率の改善などの成果を上げてきた。今回は兵庫協会で1万5千筆を目標に、「保険でより良い歯科医療を」兵庫連絡会と協力して署名運動を行っている。署名運動の意義とこれまでの成果について解説する。

歯科署名運動の到達と成果
 これまでの歯科署名運動では、国会提出数は最高34万筆、紹介議員は最大で90人となっている(表1)。
 署名提出の際には、国会内集会を開催する。集会では、歯科保険診療をめぐる問題や現場の厳しい状況について発言・交流し、出席の国会議員やマスコミに、歯科医療の拡充を訴える場となっている。
 07年以降取り組んできた歯科署名は、歯科医療政策に大きな影響を与えてきた。診療報酬の改定率では、歯科本体は2002年から06年までマイナス改定が続いたが、08年は0.42%、10年2.09%、12年1.70%、14年0.99%、16年0.61%、18年0.69%、20年0.59%と、わずかとは言えプラスを勝ち取ってきた(図1)。
 改定では、長期間据え置かれてきた基礎的技術料や、在宅や周術期関連での評価・引き上げが実現している。新規技術も改定ごとに導入されている(表2)。
いっそうの署名運動で歯科医療費の総枠拡大を
 これまで署名運動により歯科医療の改善を実現してきたが、基礎的技術料を中心とした診療報酬の抜本的引き上げにはほど遠く、金属義歯やメタルボンドなど、すでに普及し定着している技術も保険導入されていないままである。また、歯科衛生士不足や歯科技工士の長時間労働・低報酬による、高い離職率など、「歯科医療危機」の窮状が続き、患者窓口負担も引き上げられている。
 長らく続く国の「低医療費政策」を転換し、歯科医療費拡大を実現するために、患者・国民と共同して、「お金の心配をせず、安心して歯科医療が受けられるよう、窓口負担割合を下げてください」、「健康保険で受けられる歯科治療の範囲を広げてください」、「歯科医療の充実に必要な国の予算を増やしてください」の3点を請願項目にした歯科署名にさらなるご協力をお願いしたい。

 また、署名運動を推進するために、ハガキ署名や、署名付ポケットティッシュ、患者さんの読み物として2種のリーフレット『早めの歯科治療と定期的な専門的口腔ケアは感染予防のカギ』『お口の健康を守るために』のグッズを準備した。患者さんに署名をお願いするに当たり、合わせて頒布いただきたい。
 グッズはすべて無料。署名用紙・グッズのご注文は、電話078-393−1809まで

図1 近年の歯科改定率
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表1 歯科署名提出数と紹介議員数
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表2 近年の主な新規技術の導入
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