兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2021年9月15日(1984号) ピックアップニュース

尼崎支部 「クボタショック」から16年
尼崎市内のアスベスト被害が深刻化

 2005年に株式会社クボタ旧神崎工場で、工場従業員や周辺住民の大規模なアスベスト被害が明らかになった「クボタショック」から16年が経過したが、尼崎市内のアスベスト被害は深刻で、被害者は増加の一途をたどっている。
 今年8月3日にクボタが明らかにした石綿被害への救済金の支払いは365人に及び、クボタ従業員に補償した244人とあわせ、被害者は609人と、600人を超えた。ただし、クボタは救済金支払い対象を、工場の半径1.5㎞以内に居住や通勤などの生活歴のある人と限定しており、実際の被害者数はこれをさらに上回ると考えられる。
 また現在も、尼崎市における中皮腫による死亡者数は全国平均の10倍以上となっており、アスベストの暴露を受けてから中皮腫や肺がんが発症するまで20年から50年を要することから、被害者は今後も増え続けることも想定される。
 協会尼崎支部も参加する「アスベスト被害からいのちと健康を守る尼崎の会」は、(1)クボタは責任を認めて被害者全員に謝罪して補償すること、(2)国は石綿救済法を抜本的に改善して認定基準の緩和や労災並みの補償をすること、(3)尼崎市は旧工場周辺に居住・通勤・通学していた住民へアスベストによる健康への影響を周知することなど、国とクボタの責任を問い、被害者の完全救済を求める運動を行っている。また被害者に寄り添った相談活動も行っているので、引き続き先生方のご理解とご協力をお願いしたい。

1984_06.jpg

クボタ旧神崎工場でのアスベスト飛散被害者は判明分だけで600人超に

バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方