兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年12月05日(1992号) ピックアップニュース

第98回評議員会
医療費抑制改め診療報酬引き上げを

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診療報酬引き上げ等を求める決議を拍手で採択

 新型コロナウイルス感染症対策へ診療報酬大幅引き上げ求める−−。協会は11月21日、第98回評議員会・臨時決算総会・第44回共済制度委員会を開催。評議員ら85人が参加し、2021年度前半期会務報告と後半期の重点課題、決議を承認した。特別講演では、朝日新聞編集委員の高橋純子氏が「〈無責任な政治〉を生んだ〈責任〉はどこに?−政治家、選挙制度、マスメディア」と題して講演した(次号に評議員会詳報を掲載予定)。

 開会あいさつで西山裕康理事長は、新型コロナウイルス感染症でこれまでに1万8千人以上が亡くなっており、東日本大震災に匹敵する大災害だと指摘。一方で政府は、医療費抑制のため、医師数や看護師数を増やさず、病床数を削減し、患者窓口負担を増やし、診療報酬のマイナス改定を続けてきたため、コロナ禍という有事で医療提供体制が機能しなかったと指摘。感染症医療は公的病院の重要な機能であり、過度の採算性や効率を求めるべきではないとした。
 新たに成立した岸田政権については、「当初は、病床削減を推進した新自由主義を転換すると掲げ、少なからず期待したが、トーンダウンしている。医療等の公的部門を縮小する新自由主義政策は、1980年代より長く続く自民党の中心的政策であり、転換するのは容易ではない。『新しい資本主義会議』の人選を見ても、これまで通り財界の意向が色濃く反映されることは間違いない」とした。そして、協会は今後も不偏不党を原則とし、社会保障の拡充へ署名運動や幅広い政党・国会議員への働きかけを強めていくとした。
 武村義人副理事長が前半期の会務報告と後半期の重点課題について報告。会務報告では、「病床削減が推し進められた結果、コロナに感染しても入院できない患者が発生したが、岸田首相では医療政策の転換は望めない」と情勢を報告した。後半期の重点課題としては、「『頼りになり役立つ協会』となるよう努め、政府の患者負担増計画に反対し、医療費の総枠拡大、社会保障拡充、憲法と平和を守る運動などを、広範な国民・団体と共同して進めることに全力を尽くす」とした。
 討論では「地元選出議員との懇談など、協会の政治的影響力の強化を」「病院統廃合、75歳以上窓口2割負担政策を改め、診療報酬プラス改定をかちとろう」「国際部の取り組み〜韓国民主化運動と社会保障制度の発展」「『保険でより良い歯科医療』を求める各運動にご協力を」など、医療・社会保障改善を求める発言や、各支部での多彩な活動の紹介、コロナ禍での審査対策活動、会員拡大への協力のお願いなど、13人から発言があった。
 最後には、コロナ禍による医療機関の減収への補填、医療費抑制政策の転換と公衆衛生体制の強化、患者・介護利用者負担増計画の中止などを盛り込んだ決議を採択した。
特別講演
メディアの政権監視が民主主義の土台
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メディアが政権を監視する責任を語る朝日新聞の高橋氏

 特別講演では高橋純子氏が、「〈無責任な政治〉を生んだ〈責任〉はどこに?−政治家、選挙制度、マスメディア」と題して講演した。
 高橋氏はまず、政治部記者として「総理番」を務めた経験を話し、首相へ質問する機会がこの10数年の間で減少し続けたと紹介。一方で、安倍元首相は政権支持派のメディアにインタビュー出演し、都合の良い情報のみを発信するように変質してきたとした。
 続いて安倍一強体制を築いてきたのは、死票が多く民意を過度に集約する小選挙区制にあると指摘。安倍首相が、「アベノミクス」「積極的平和主義」のような聞こえのよい言葉を繰り返すことで国民を誘導し、小選挙区で勝利できる底堅い民意を固め続けてきたと解説した。
 また政権は、あたかも既定事項であるかのように自身の政策を示し、これに対する野党の批判を「理想主義」や、「政権の足を引っ張る存在」と批判しているが、民主主義のあるべき形は、政権への全権委任ではなく、野党の批判も踏まえて、国民一人ひとりがより良い政策とは何かを検討することであるとした。そのためにも、政策の問題点を国民に広く知らせるメディアの役割が重要であるとした。
 第44回共済制度委員会では、共済事業報告および事業計画案が報告され、特別報告では太陽生命保険株式会社法人営業推進部長兼金融法人部長の一番ヶ瀬智彦氏が、「コロナ禍の金融経済情勢と保険業界」をテーマに報告した。臨時決算総会では、20年度決算・監査報告が承認された。
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