兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2021年12月15日(1993号) ピックアップニュース

燭心

 今年も残すところわずか、皆さま方のこの一年はどうだっただろうか? 悲喜こもごもあれど、無事一年を終えられることに感謝したい。私事で失礼だが、先日突然、入院・手術する羽目になった。脳出血である。前日くらいから異変に気が付いていた。術中にミラーやピンセットがうまく持てない、パソコンの入力ができなくなる、まっすぐ歩けない等々である。こりゃいかんと急遽休診して病院に行くと、即刻手術を言い渡された▼手術台で朦朧としていると、閻魔大王が現れた。これからお前の歯を全部抜いてやると言う。前世に罪もない人の歯を何千本も抜いてきた罰だそうだ。それは仕事なので、と言い訳しても聞いてくれそうな相手ではない。助けてくれと叫びそうになって目が覚めた。危ないところだった▼昔、運慶という仏師が死に瀕し、閻魔さんの前に引きずり出された時、「お前はわしの神像を一度も彫っていない。もう一度娑婆に戻すから、しっかり彫ってこい」と命じられたそうである。そんな話を思い出した。こちらは運慶ほどの才能ある人間でもないが、もう一度出直してこいとお情けをかけてもらえたのか▼今まで大病を患ったことがなく、何となく自分の健康を過信していた。反省することしきり、仕事も家庭も保険医協会の活動も、すべては健康が基本、当たり前のことにやっと気づいた。さて、件の閻魔大王像は、鎌倉の円応寺というお寺にあるそうな。元気になったら、ぜひお参りに行きたいと思っている(星)
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