兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年1月25日(1995号) ピックアップニュース

主張 社会保障充実に逆行する高齢者負担増を阻止しよう

 政府は昨年末、一般会計総額107兆円超となる来年度予算案を取りまとめ、今年10月以降の75歳以上の高齢者窓口負担の2割への引き上げが盛り込まれた。長引くコロナ禍で苦しむ患者・国民をいっそう医療から遠ざけるものであり、容認できない。
 そもそもこの負担増は、菅前政権下の2020年12月に「全世代型社会保障検討会議」の最終報告に盛り込まれ、2021年6月に、改正法案が自民・公明・維新・国民各党の賛成により可決・成立したものである。その後、第5波の感染が拡大し、コロナ禍の死者は1万人を超えたが、政府はメディアと一体になって、感染拡大の原因は民間医療機関の非協力的な態度にあるとの言説を流布し続けた。国民の命を守る姿勢すら見せずに、高齢者の負担増に突き進んだ政権の責任は重大である。
 政権は、負担増の理由として、「世代間の負担の公平化」を掲げているが、今回の負担増で現役世代からの拠出金の軽減額は年間約830億円で、労働者一人当たりに換算するとわずか月30円程度である。これに対して、高齢者は現役世代に比べて抱える疾患が多く、窓口負担倍増による影響はあまりに大きい。政府が主張するような世代間の公平を実現するならば、疾病に苦しむ患者への負担割合を高めるのではなく、税と保険料による所得再分配を基本とするべきである。
 政府は社会保障費を抑制し続ける理由として、社会保障費の増大により国家財政が破綻するという医療費亡国論を根拠としている。しかし、北欧各国のような福祉国家は財政破綻を起こしておらず、それどころか一人当たりGDPを大きく成長させている。一方で、社会保障を削減し続けてきた日本では、30年以上も低賃金とデフレに苦しんでいる。社会保障費の拡充は、医療従事者の雇用創出や賃金引き上げに直結するものであり、経済政策の点からも社会保障費拡充を進めるべきである。
 コロナ禍の今こそ、国民生活を応援する政策を進める時期であり、患者負担増は中止すべきである。国民世論が高まれば、岸田政権も10月からの負担増は中止せざるを得なくなる。協会では、負担増実施の中止を求める新署名に取り組む。多くの署名を各党の国会議員に届け、さいごまで高齢者負担増中止の世論を高めよう。
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