兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年2月25日(1998号) ピックアップニュース

主張 核兵器禁止条約発効から1年
日本政府は核禁条約に署名・批准せよ

 昨年1月に核兵器禁止条約が発効してから1年が経過した。同条約は、核兵器の開発や保有、使用、威嚇等を幅広く禁止している。これまでに批准したのは59カ国・地域、批准の前段階に当たる署名は86カ国・地域(批准国含む)が終えている。  発効1年をめどに第1回締約国会議が開催される予定であったが、新型コロナウイルス感染症の拡大により、延期を重ねていることは残念である。夏にはコロナが収束し、核廃絶に向けた前向きな議論がなされることを期待したい。
 NPT体制の下での核軍縮が停滞する中、「核なき世界」の理念を共有する国々の輪は拡大している。条約に批准はしていないが、同締約国会議へのオブザーバー参加の意向を正式に国連に伝えた国は、10カ国に上る。中でもNATO加盟国で米国の核の傘の下にあるドイツやノルウェーもオブザーバーとはいえ、参加する意向を示していることは画期的である。
 しかし、世界で唯一の戦争被爆国である日本政府は、署名も批准もオブザーバー参加さえもするつもりはないと表明している。締約国会議の議長を務めるオーストリア外務省のアレクサンダー・クメント軍縮軍備管理局長は「日本は貢献できることが多い」と、会議参加への期待を表明している。
 世界から期待されているにもかかわらず、なぜドイツのように参加できないのか? 日米安保条約や日米地位協定の下、米国に忖度しているのであろうが、日本はすでに技術力や経済力で世界的な地位が低下し、2020年には1人当たりGDPは24位まで後退した。核廃絶ぐらいは、日本政府の存在感を発揮してもらいたい。
 米国内の人口3万人以上の1400超の都市で構成する全米市長会議は、米政府に対し、核兵器禁止条約を歓迎し核廃絶に向けた即時行動を求める決議を全会一致で採択した。日本でも、政府に禁止条約への参加・署名・批准を求める意見書が、全体の4割弱にあたる627自治体で可決されている。政府を動かすため、非人道的な核兵器の廃絶を願う市民の力を結集させることが求められている。
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