兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年3月15日(2000号) ピックアップニュース

燭心

 「まん防」により酒類の提供が制限され、ストレスを感じる方も少なくないだろう。兵庫県では3月21日まで延長され、まだまだ我慢を強いられそうだ▼私は下戸だが、お酒の効用について、勤務先の外科部長から聞いた話がある。一つ目は常識にとらわれない発想が生まれることである。酔うと出てくる多くのアイデアはほとんどが妄想だが、中には現実に役立つものもあるらしい。芸術では「追い風参考」ならぬ「アルコール参考」作品も多い▼二つ目は若い人同士での濃密な人間関係の形成である。アルコール抜きの付き合いでは、「知り合い」や「友人」はできても、困った時に助け合う「親友」作りは難しい▼三つ目は魂の解放である。そこまで開放するかという姿には、苦笑を超えて憧れすら覚える。ただ、悩みごとは酔いから醒めるとさらに大きくなってのしかかってくる▼魂の解放が、大脳辺縁系の抑制解除であれば、認知症も同じかもしれない。陽気・陰気、頑固・素直、楽観・悲観等々、酔った際の言動と来るべき認知症の周辺症状は一致するのだろうか。下戸の私が将来どうなるか、少々楽しみでもあるが、自身では検証できない状態かもしれない▼小生は体育会系部活であったため、無理に飲まされたこともあったが、下戸が周知されてからは誰も勧めてこないのでいささか寂しい。少量の飲酒は認知症の予防にもなるらしい。「まん防」が解除されれば、来るべき認知症に備え、魂の解放とその行き先を調査してみたい。(空)
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