兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年4月15日(2003号) ピックアップニュース

歯科〈その1〉新点数Q&A

※疑義解釈(その1)が3月31日付で発出されました。協会ウェブサイト「2022年診療報酬改定特設ページ」でもご確認いただけます。

Q1 「歯初診」施設基準の研修項目追加と経過措置を確認したい。
A1 (1)常勤の歯科医師が4年に1回以上定期受講する研修項目が細かく規定され、「歯科外来診療の院内感染防止に係る標準予防策および新興感染症に対する対策」になりました。歯初診の研修項目の追加にともなう再度の届出は不要です。研修を実施した旨を、毎年7月に厚生局から届いた様式を用いて、7月中に近畿厚生局兵庫事務所に報告します。
 新たに歯初診を届出る際に、新基準の研修について記載し、受講証の写しの添付は不要になりました。外部研修の受講証は保存します。
 [経過措置] 初診料の注1をすでに届け出ている保険医療機関で、旧基準の研修を2022年3月31日以前に受講している場合は、2023年3月31日まで1年間は、要件を満たしているものとして取り扱われます。なお、旧基準の研修を2021年4月1日から2022年3月31日までに受講している場合は、研修受講日から2年間有効です。新たな基準の研修をすでに受講している場合は、その受講日から4年間有効です(図1)。
 (2)職員を対象とした院内感染防止に係る院内研修等についても「院内感染防止に係る標準予防策および新興感染症に対する対策等」と内容が追加されました。協会では、2年前に作成した院内研修用の冊子を、県内の病院歯科の先生方のご協力で改定し、5月初旬までに歯科会員全員に無料でお届けします。ご活用ください。
Q2 歯管の総合医療管理加算(総医)の施設基準廃止で、どの歯科保険医療機関でも算定できるようになったのか。
A2 その通りです。総医〈歯在管の在宅総合医療管理加算(在歯総医)〉の施設基準が廃止になり、全ての医療機関で要件を満たせば算定できることになりました。これは協会が粘り強く施設基準の廃止を求めていたことが実現したものです。なお、歯科治療時医療管理料(医管)、(在歯管)については引き続き届出が必要ですが、すでに届出済みの場合の再届出は不要です。
 対象患者に「HIV感染症の患者」が追加されました。糖尿病や、骨吸収抑制薬投与中など対象の患者さんが来院された際に、医科の主治医に対して、診療情報連携共有料(120点)を活用して文書で照会します。歯科治療にあたり患者の全身状態や服薬状況について診療情報提供書の様式で情報提供を受けて、歯科治療での療養上必要な指導、管理した場合に、歯管に50点加算できます。カルテに、医科から情報提供を受けた内容や担当医の保険医療機関名を記載、または提供文書の写しを添付します。医科歯科連携の促進にぜひ活用ください。
Q3 歯科訪問診療料に通信画像情報活用加算が新設されたが、訪問歯科衛生指導の実施時に当該保険医療機関の歯科医師が情報通信機器を用いて患者の口腔内の状態等を観察した日以降に、やむを得ず当該患者が入院した場合は、当該加算の算定についてどのように考えればよいか。
A3 当該観察日から6月以内に限り、算定できます。レセプトの摘要欄にその旨を記載してください。
Q4 歯科訪問診療料に通信画像情報活用加算における口腔内の画像撮影装置は、歯科医師がリアルタイムでビデオ画像を観察できるものであれば、該当するのか。
A4 その通りです。装置は限定されていません。撮影したビデオ画像は、訪問元の保険医療機関においてリアルタイムで歯科医師がビデオ通話に準ずる方式で観察します。
Q5 通信画像情報活用加算は、訪問歯科衛生指導料(訪衛指)を算定する日(歯科訪問診療料を算定する日を除く)とあるが、介護保険の居宅療養管理指導費(歯科衛生士等が行う場合)(介護予防も同様)を算定した日でも可能か。
A5 可能です。この場合、居宅療養管理指導費(歯科衛生士等が行う場合)または介護予防居宅療養管理指導費(歯科衛生士等が行う場合)を算定した年月日と、当該保険医療機関の歯科医師が口腔内ビデオ画像を撮影できる装置を用いて口腔内等の状態を観察した旨をレセプトの摘要欄に記載します。
Q6 新設の口腔細菌定量検査について、保険適用の機器が知りたい。
A6 2022年4月1日現在、パナソニック(株)の「口腔内細菌カウンタNP-BCM01-A」のみです。型番をご確認ください。以前に販売されていたものとは型番が違い、現在のところ届出できませんが、協会は今後厚労省やメーカーに働きかけていきます。
 なお、「在宅等において療養を行っている」または「歯科診療特別対応加算の対象の一部の患者」に対してのみが対象で、口腔バイオフィルム感染症の診断を目的として実施した場合に算定します。認知症を有する患者や要介護状態の患者の場合も対象の状態であれば算定可能です。検査の結果、口腔バイオフィルム感染症と診断された場合の管理は歯管、歯在管で算定できます。周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)で管理していても対象の状態であれば可能です。口腔細菌定量検査を算定した月は、歯周病検査または歯周病部分再評価検査を別に算定できません。
Q7 新設された歯科部分パノラマ断層撮影について、保険適用の装置が知りたい。
A7 2022年4月1日現在、(株)モリタ製作所の「ベラビュー X800」「ベラビュー エポックス」、(株)ジーシーの「プロワン」、(株)吉田製作所の「パノーラ15」、「パノーラ18」「パノーラ19」「エクセラ」があります。今後も追加される可能性があります。メーカーにご確認ください。
 なお、歯科部分パノラマ断層撮影は、強い嘔吐反射のため口内法エックス線撮影が困難である患者が対象となります。歯科部分パノラマ断層撮影を用いて、エックス線の照射範囲を限定し、局所的な撮影を行ったものをいい、単にパノラマ断層撮影により撮影された画像を分割した場合は算定できません。ご注意ください。
Q8 加圧根管充填処置にNi-Tiロータリーファイル加算150点が新設されたが、保険適用された製品を教えてほしい。
A8 2022年4月1日現在、カボデンタルシステムズ㈱の「TFファイル」「K3 XFファイル」、㈱ジーシーの「タックエンドファイル」、白水貿易(株)の「レイス」「プロレイス」、デンツプライシロナの「プロテーパーネクスト」「プログライダー」、(株)ヨシダの「RE ファイル」(株)松風「Mtwoファイル」など数多く保険適用されました。材料業者にご確認ください。
 なお、Ni-Tiロータリーファイルのみ使用しても算定はできません。Ni-Tiロータリーファイル加算は、手術用顕微鏡加算の施設基準の届出を行っており、手術用顕微鏡加算を算定したうえで、Ni-Tiロータリーファイルを用いた場合にさらに加算することになります。ご注意ください。
Q9 フッ化物歯面塗布処置(F局)の、初期の根面う蝕に罹患している患者の場合を算定する場合に、レセプトの「傷病名部位」欄の病名はどのように記載すればよいか。
A9 「初期の根面う蝕」または「根C」と記載し、処置を行った部位を記載すること。
 これまで「在宅等で療養している患者」に限られていたものが、「外来で歯科疾患管理料を算定した65歳以上の初期の根面う蝕に罹患している患者」も対象に追加されました。F局は、1口腔単位での継続的な処置を評価したものです。エナメル質初期う蝕と初期の根面う蝕のどちらも有する患者は、いずれかの主たる疾患に対してのみ算定できます。

図1 「歯初診」施設基準の経過措置について
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図2 歯科のカルテ・レセプトに使用できる略称(4月改定での追加分のみ)
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歯科新点数研究会へのご参加ありがとうございました
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姫路会場(3月26日)

 県下9会場で約900人のご参加をいただきました。前回改定時は映像配信のみとなりましたので、4年ぶりの実参加中心の開催ができました。ありがとうございました。
 ※4月3日にZoom併用で開催の歯科新点数研究会録画分のアーカイブ視聴をご希望の会員の先生は、協会歯科担当事務局(電話078-393-1809)までご連絡ください。5月10日までご覧いただけます。

◆歯科保険請求、施設基準の届出などのお問い合わせは、協会事務局電話078-393-1809(歯科直通)平日9時30分~17時まで
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