兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年4月25日(2004号) ピックアップニュース

診療報酬改定インタビュー 病院
医療現場を顧みない改定
淡路市  松井 祥治先生

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点数がより複雑化したと語る松井先生

 今次改定内容について、医療機関への影響を聞くインタビュー。第3回は入院料の改定内容について、淡路市・順心淡路病院院長の松井祥治先生に聞いた。

 --新型コロナウイルス感染症が続く中での改定となりました。
 第6波が続く大変な状況での改定ですが、現場で奮闘している医療機関を励ます内容ではないと感じました。コロナ禍で医療従事者の役割の大きさを国も痛感しているのに、診療報酬は引き上げられるどころか、ネットでマイナス改定、入院料は基準が一層厳しくなりました。
 --一般病棟入院料の施設基準である「重症度、医療・看護必要度」における評価項目から、「心電図モニターの管理」が削除されました。
 夜間に重症患者の容体が急変したときに、迅速に対応するためにも心電図モニターは重要ですが、評価基準を厳しくする目的で項目から外されたのは明らかです。この項目が外れると、多くの医療機関で重症度、医療・看護必要度の基準を満たすことが困難になると思われます。
 --地域包括ケア病棟入院料にも、基準の厳格化が多数盛り込まれました。
 非常に厳しい内容です。導入当時は地域包括ケア病床に誘導するために、基準を緩く設定していたものが、改定ごとに厳しくされています。当院では地域包括ケア病棟入院料1を算定していますが、在宅復帰率が70%から72.5%に引き上げられました。特別養護老人ホームは在宅復帰率に入りますが、肺炎などで介護老人保健施設(老健)から入院した患者を老健へ戻した場合は、在宅復帰とみなされません。国は施設基準のハードルを上げ、算定可能な病院をふるいにかけていると言えます。
 --従来の感染防止対策加算は「感染対策向上加算」に名称変更され、要件も大きく変更となりました。
 まったく別の点数になったと言っても過言ではありません。当院では、これまで感染防止対策加算2(90点)を届け出ていましたが、主な内容は文字通り、院内での感染防止対策に関する評価でした。新たな感染対策向上加算では、院内感染対策に加えて、新型コロナウイルス感染症など新興感染症を診る医療機関に対する評価へと変更されました。改定後は、新型コロナの入院患者を受け入れる病院や、発熱外来を実施している病院だけが対象となります。当院は発熱外来を実施していますが、新しい感染対策向上加算では「3」の75点しか届出ができません。
 コロナ禍において、N95マスクやガウン、フェイスシールドなど、感染対策はどの医療機関でも実施しています。しかし、新たな点数では、それらの地道な取り組みが評価されません。
 --改定について国に求めたいことは。
 すべての医療機関がコロナ禍の中で診療を続けており、感染対策などの人手も多くかかります。入院料を大幅に引き上げる改定をすべきです。
 また、新点数について把握するだけでも難しい内容が多く、ただでさえコロナ禍で過密労働になっている医療現場にとって大きな負担になっています。もっと分かりやすい診療報酬にしてもらいたいものです。
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