兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年7月15日(2011号) ピックアップニュース

燭心

 先月新幹線で東京に行く機会があった。近江平野、濃尾平野で田植えを終えた水田を多く見かけた。懐かしい風景だが、今年の梅雨は極端に短く雨量も少ないとのことでその生育が気がかりだ。原因は太平洋高気圧が梅雨前線を北に押し上げたためとされている▼北海道は梅雨がなくこの時期の旅行などには快適とされていたが、先月旭川で豪雨・水害が発生した。「ペーパン川氾濫」と報道されたのは周知のことだが、カタカナ表記の名称が印象に残った。アイヌ語で「甘い・水・川」を意味するとのことであるが「米飯川」とも表記される▼130年前、極寒のこの地で稲作をしようと、福島・富山の農民が入植し開墾したという歴史がある。バカな大物政治家が「温暖化のおかげで北海道でも米がとれるようになった」と放言したが、当時は予想もつかない苦労の連続、まさに想像を絶する▼ここ数年、各地で100年に1度と表現される豪雨災害が頻発している。原因は人間社会がもたらす「地球温暖化」であることは間違いない。パリ協定は今世紀後半に温室効果ガス排出をゼロにすることを掲げる▼産業革命以降、化石燃料をエネルギー源とし、開発、増産、浪費で「成長路線」を突き進んできた。東北大学の環境科学者・明日香壽川教授は、現在の技術力で原発を廃止しても排出ゼロは可能で、雇用も守れると主張する。成長路線を放棄しなくともできることからすべきで「脱成長」に拘泥すると手遅れになると。実に実践的だ。(無)
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