兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年8月25日(2014号) ピックアップニュース

主張 沖縄県知事選
人権・民意無視は許されない

 来月9月11日の沖縄県知事選挙が迫ってきた。沖縄県が日本本土復帰50年を迎えた年の選挙となる。
 4年前の選挙では、普天間基地の無条件撤去、辺野古新基地建設反対を訴え続け、在任中に逝去した故翁長雄志氏の遺志を継ぎ、玉城デニー氏が当選した。選挙にあたって当会は、沖縄県保険医協会が有志の会代表の仲里尚実会長名で行った支援の呼びかけに応え、物心の支援を行った。
 先の戦争の末期、沖縄は本土を守る捨て石とされ、沖縄戦で20万人以上の人々が犠牲となった。敗戦後は米軍の統治下におかれ、「銃剣とブルドーザー」による土地の接収、米兵による住民の殺害や暴行、米軍機の墜落など、幾多の事件が起きたが、沖縄の人々の抗議は受け入れられなかった。人権を無視され続けたのである。
 1972年に日本へ復帰し50年。現状はどうだろうか。8月初旬に広島で行われた原水爆禁止世界大会で、一人の沖縄の高校生が発言した言葉を借りる。
「沖縄の人々は復帰したら基地がなくなり、日本国憲法により人権も守られると思っていました。しかし、復帰50年がたった今も、米軍基地による事件、事故、騒音、水や土壌の汚染に悩まされています。さらに県民投票で7割以上が反対の民意を示したにもかかわらず、生物多様性の宝庫である辺野古・大浦湾に新たな基地建設がすすめられています」
 沖縄県民は、復帰前と変わらず人権を無視され続けているのだ。米軍基地が原因の汚染水を、毎日子どもたちも飲んでいるわけで、この一点だけでも明確に生存権を侵されている。
 4年前・8年前の知事選挙や県民投票、国政選挙の結果が示すように、県民は、「新基地建設ノー」の民意を示し続けているが、政権は交付金を減額するなど執拗な締め付けを行い、新基地建設の工事を推し進めている。政府の態度は、憲法92条・95条などで定められる地方自治を侵すもので、国は最高法規である憲法の軽視・無視を平然と繰り返してきたと言える。
 沖縄の問題は日本国民の問題と言われて久しい。しかし、沖縄タイムスと朝日新聞などの調査によると、「在沖米軍基地を今後どうするか」との問いに、沖縄県民の約8割が「減らす」「全面撤去」と答えたが、全国では5割程度にとどまり、「今のままでよい」が4割を占めている。
 国土面積の0.6%しかない沖縄県に、全国の米軍施設面積の7割が集中し、住民の人権・意見を無視している現状を私たちは看過するわけにはいかない。協会は、5月の第99回評議員会決議で「沖縄・普天間基地の無条件撤去、辺野古沖への新基地建設計画中止」を掲げるなど、普天間基地の無条件撤去と辺野古新基地建設中止を重要な要求として位置づけている。今回も高嶺朝広沖縄協会会長の要請を受け、玉城デニー氏の再選をめざし支援を行うことを決定した。
 会員の皆さまのご理解・ご協力を重ねてお願いしたい。
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