兵庫県保険医協会

会員ページ 文字サイズ

兵庫保険医新聞

2022年8月25日(2014号) ピックアップニュース

政策研究会で福島京大名誉教授が講演
国のコロナ対策の科学性の欠如厳しく批判

2014_02.jpg

京都大学名誉教授の福島雅典先生が、ワクチン接種後の死亡事例の調査の不備など指摘

 協会政策部は7月23日、政策研究会「国の新型コロナウイルス対策における科学性の欠如」を協会会議室とオンラインで開催。京都大学名誉教授の福島雅典先生が講演し、会員ら59人(会場15人、オンライン44人)が参加した。


 福島先生は、国の新型コロナの感染防止対策について、科学的な分析結果を示していないと批判し、冷静に地に足をつけて現場の患者を見た上で考えるのが国のサイエンスの根本であると指摘。
 韓国やイスラエルなどで3回目のワクチン接種を推進した後、感染爆発が起こったこと、日本でも高齢者が9割以上接種したなかで第7波が起きていることから、現在のワクチン接種戦略は本当に正しいのか、科学的に再検討する必要があるとした。
 新型コロナワクチン接種後の死亡事例に関する国の評価についても批判。死亡事例として報告された件数は6月12日までに計1603件にのぼるが、政府・厚労省による専門家の評価では、ワクチン接種との因果関係について「評価できない」とされたものが大半で、「因果関係が否定できない」とされたものはゼロとなっており、政府・厚労省の評価する気がないという姿勢が現れているとし、死亡事例を全数調査するべきと訴えた。
 そして、福島先生は、今後の新型コロナウイルス対策として、新型コロナウイルス感染症専門診療センターの設置と運営など、地域単位で、行政・医師会・大学病院・基幹病院が協議会を作って地域の実情に合った対策を策定・実施することや、日本の研究者の研究成果を適切に評価して対策に反映することなどが重要であると提言。あわせて、診療ガイドラインの普及と遵守、汚染防止の基本原則の徹底、感染経路の徹底調査と、ワクチン接種者の感染実態や感染後死亡に対する徹底した調査が必要であり、その前提として、精密なプロトコールを作成し、調査するという臨床科学の厳格な適用が必須であると強調した。
バックナンバー 兵庫保険医新聞PDF 購読ご希望の方