兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2022年10月05日(2018号) ピックアップニュース

燭心

 娘が母親になった。つい20年ほど前まで自身が泣き虫だったはずなのに、25時間に及ぶ陣痛に耐え、出産後は不眠不休で育児に励んでいる。慣れない男性陣に文句を言いながら。まさに「母は強し」を実感している▼先日Fさんから予約キャンセルの電話が来た。Fさんは30年来通院してくれている。彼女が80歳を超えてからは、息子さんがわざわざ車で母親宅まで迎えに行き、私の医院まで送り届けてくれていた。その自慢の孝行息子が先日、心筋梗塞で急逝されてしまったのだ。Fさんの嘆きはいかばかりか。ご主人の死は乗り越えたが、今度ばかりは立ち直られるか、不安である▼Fさんのように、母親はいくつになっても子どもを慈しみ、健やかであることを祈っているのだと感じる。ロシアやウクライナの母親たちも同じだろう。両国の大統領は勇ましいことを言っているが、この地で失われた子どもたちの命を悼む母親たちの慟哭が聞こえてきそうだ▼私の娘も、国民の命を危険に晒してまで領土を守ろうとするゼレンスキー大統領に疑問を呈している。軍事的解決は政治の敗北である▼政治のトップは、女性に代わった方が良いのではないだろうか。そうなれば子どもたちを戦場に送り、戦火に晒すような政治を行わないのではないか。政治参加の男女平等度ランキングで、日本は146カ国中139位。女性政治家が増えれば、医療・福祉や労働環境についても、命を大切にする政策に変わっていくだろう。ジェンダー平等に乾杯。(酔)
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