兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年2月15日(2029号) ピックアップニュース

燭心

 ウクライナで戦死したロシア兵士の母親が悲嘆にくれ息子を返せと訴える映像が流れる。戦争が始まると、まず命を落とすのは兵士である若者だ。ウクライナ側も同様であろう▼日本人も先の戦争で経験した。悲嘆にくれた人々はこの惨劇を二度と繰り返さないと誓い、日本国憲法を誕生させた。戦争は絶対にしない、問題解決には対話をもって努力する。そう誓ったはずだ▼〝新しい戦前〟が話題になっている。意味するものは何であろう。先の戦争の経験者は「気が付いたら戦争が始まっていた」と言われる。しかし予兆は本当になかったのか? 予兆を国民が見逃したのでは? または気づいていたが気づかぬふりをし対処しなかったのではないか? 過去を顧みないものに未来はない▼ドイツは当時としては先駆的なワイマール憲法を有していた。しかし、ナチスの台頭を許し、戦争を始めてしまった。原因は憲法の〝非常事態宣言〟だったと言われる。しかし、それまでにあったいくつもの予兆を当時の国民は問題としなかったようだ▼今の日本はどうか。為政者が最高法規である憲法を軽んじ、無視している。われわれが信号無視をしたら咎められ罰則を受けるが、憲法99条で憲法を尊重し守る義務があるはずの政権は、赤信号無視どころかフルスロットルで交差点に突っ込んでいる▼これをわれわれは軽んじてはいけないし見逃してもいけない。絶対に...。〝気が付いたら戦争が始まっていた〟そしてまず命を落とすのは若者だ。(蓮)
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