兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年3月15日(2032号) ピックアップニュース

燭心

 先日、福島雅典京大名誉教授のデュアルユース(軍民両用)研究の危険性という講演を協会会議室で聴いた。科学者としての医師の使命と責任、研究を軍事と民生に二分する困難さ、さらに中国政府の動きも解説された▼沖縄等に米軍基地がある以上、日本も台湾有事に巻き込まれるおそれがあり、一党独裁の専制国家との性格は中国4千年の歴史でほとんど変化がないよう思われるとして、習近平は自身を唐の2代目皇帝太宗・李世民に重複させていると言っておられた▼太宗は中国で「代表的名君」とされ、そのエピソードを集めた「貞観政要」は中国だけでなく、朝鮮、日本でも帝王学の規範書、教科書として歴代皇帝、日本の天皇、幕府の将軍の必読書とされ、広く読まれた。太宗が名君と言われたのは、周囲の有能な官僚・房玄齢、杜如晦、魏微等が諫言し、その耳障りな意見も聴く耳を持っていたからだ▼太宗は「何を言ったか」の記載はあるが、「何をしたか」という記載は少ない。中国の歴史書では個人の発言、会話が多く、社会制度の記載が少ないのだが、律令制を完成させ、国家を世界帝国として完成させた功績は明らかだ▼日本にも「聞く力」を持つという偉い人がいるが聞くのは周囲の御用学者の意見だけ。安易な円安、非正規雇用の拡大。この20年間でG7のなかで日本だけ停滞して、GDPもドイツ、インドにも抜かれるであろう。甘言を弄する似非えせ学者より周囲の諫言かんげんと物価高で困窮している国民の「言」を聴け!(鼻)
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