兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年4月25日(2036号) ピックアップニュース

燭心

 今年は、浄土真宗を開いた親鸞生誕850年の節目だそうだ。門弟のひとり唯円が書した歎異抄に「親鸞は弟子一人ももたず候」とある。親鸞を師と仰ぐ者は3500人以上とされるが、同じ志を持つ者は共に学びあう同朋であり師も弟子もないと親鸞は言い切るのである▼病院で働く自分の立場に当てはめてみる。大学医局では教授を頂点にしたヒエラルキーの中に身を置いたが、市中病院においては部長も医員もさほどの差はなく地域医療に貢献するという同じ目的を持つ者としてチームを形成してきた。師と仰いでくれる者はいないがここは親鸞に大いに共感するところである▼この春盛り上がったWBCで日本チームを優勝に導いた栗山英樹監督の指導方法が注目を浴びている。選手のために尽くすことが監督の仕事だと彼は言う。近年、新しいリーダーの在り方として「サーバントリーダーシップ」が注目されている。70年にロバート・グリーンリーフが提唱したリーダーと部下との共有型リーダーシップという概念である▼この領域に詳しい岡山大学の石田衛教授によると、上に立って引っ張っていく従来型リーダーに対しサーバント(召使)のように部下に奉仕しながらチームを推進していく考え方だという▼部下が仕事をしやすい環境をリーダーがつくり組織の満足度を上げることで良い成績を生むという考えは、このところの日本のリーダーが声高に叫ぶ強硬ではあるが国民の満足度の低いリーダーシップとは真逆の理論である(九)
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