兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年4月25日(2036号) ピックアップニュース

主張 憲法記念日にあたって
安保3文書の撤回と憲法の遵守を求める

 5月3日は憲法記念日、日本国憲法が施行された日を祝って、公布日の11月3日とあわせて祝日に設定された。この記念日策定に携わった作家の山本有三氏は、「この日は、憲法において、如何なる国もまだやったことのない戦争放棄ということを宣言した重大な日でありまして、日本としては、この日は忘れ難い日なので、是非ともこの日は残したい...」との思いを語っておられる。以来わが国は、現在まで一度も他国への武力行使をしていない。平和憲法の力であり、多くの国民が誇りに思うところである。
 ところが、昨年末、岸田政権は「安保3文書」(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を閣議決定した。歴代政府が、戦争放棄と戦力不保持をうたう現憲法下では「持てない」としてきた「敵基地攻撃能力」を、自衛隊も「持てる」とするものである。そのため、今後5年間で防衛費を倍増し、朝鮮半島や中国の奥深くまで攻め込むことのできる長射程のミサイルを装備しようとしている。明らかに憲法の曲解である。
 さらに危険なのは、このような「敵基地攻撃能力」を、先制攻撃も辞さないとしている米軍の指揮下に組み込んでいる点である。「台湾有事」などの際、自衛隊を米国の戦争に参戦させることを目的としている。東アジアでそのような事態が起きれば、真っ先に日本が報復攻撃にさらされ、国土が焦土と化す危険性が指摘されている。政府は全国の自衛隊基地に、核攻撃に備えたシェルターまで作ろうとしているが、まったく、日本を守るどころでない、亡国への道と言わざるを得ない。
 私たちは、国民の命と健康を守ることを使命とする医師・歯科医師の団体として、再び戦火の道を歩むことを、断固拒否する。国際情勢の変化を言うならば、今必要なのは戦争を回避するための外交努力であり、平和と友好を基調とした国際的枠組みを一層強化することである。76回目の憲法記念日にあたり、2度と戦争をしないと誓った初心に立ち帰り、他国への攻撃を可能にする安保3文書の撤回と、憲法の遵守、平和外交の推進を強く求める。
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