兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年9月05日(2047号) ピックアップニュース

燭心

2500年前の論語「民は之にらしむべし、之を知らしむべからず」の解釈には2通りある▼「民(国民)を為政権の施政に従わせることは出来るが、しかしその道理を理解させることは困難である」「為政権は民を施政に盲目的に従わせれば良いのであり、その道理を民に分からせる必要がない」。全く上から目線だ▼この政治システムは東アジアに今でも残存しているように思う。国家が国民を監視する。「監視」の先進国、中国では学歴・資産・交友関係・買物・病歴・犯罪歴等々、個人情報をプロファイリングしている。韓国やシンガポールなどでも近いシステムがあり、昔の儒教文化圏と一致する▼日本はその悪習を断ち切るべきだ。自己情報コントロール権は国家ではなく個人にある。日本国憲法13条、国民は自由及び幸福追求権が尊重される。英仏の成熟した民主主義先進国は、マイナカード規制に進んでいる。翻って日本では、政府の面子と下心だけでマイナカードを推進する。一部の業者との都合だけで、国民は置き去りにして健康保険証を人質に強引に進めようとしている▼未だに日本は「知らしむべからず」、即ち国民不在の政治が続いていることは明白だ。マイナカードを強引に推進しようとする国家権力者、政治家に「由らしむべし」と認識される国民は民度の高い成熟した民主主義国の民ではない。国民が国家権力者を監視するのが本来の民主主義国であろう。世襲政治の総理大臣が続く日本に未来はない。(鼻)
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