兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2023年10月15日(2051号) ピックアップニュース

燭心

 大谷選手が大リーグで日本人初めてのホームラン王に輝いた。その偉業に驚くとともに称賛したい。ただ、シーズン中途から怪我で欠場し、ひじの手術を受けたと聞く。順調な回復とさらなる活躍を望む▼スポーツに怪我・故障はつきものなので運動はせずに自然体が平均寿命を延ばすと主張する専門家も存在する。最近、各種スポーツと平均寿命の関係についての報道を目にした。デンマークなどの調査チームによると、何もしない群に比して、平均寿命が最も長いスポーツがテニスで9.7年、2位はバドミントンだった▼国内の別の調査によると、短命1位がプロの相撲、2位は自転車であった。この理由は医療関係者であれば推察されるのではないだろうか▼健康寿命と平均寿命に差異がないことが理想だ。しかし世界に冠たる長寿国・日本で、これらとスポーツについて詳細な研究がされているだろうか。国は20年前に「スポーツ庁」を新設し、「健康長寿社会の実現」をうたった。背景にはコロナ禍のなか国民の健康を無視して強行し、利権まみれのオリンピックがあった▼「健康長寿社会」と言いながら、社会保障費の大幅な削減を続け〝異次元の少子化対策〟3兆円の原資も既存の社会保障費から捻出するという、この国が進めるスポーツは名ばかりで、本来の目的と大きくかけ離れている▼大谷選手の今後の活躍、自分たちの心身の健康、その支えの社会保障の充実に思いを馳せながら、短い食欲とスポーツの秋を堪能したいものだ(蓮)
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