兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年3月05日(2063号) ピックアップニュース

燭心

 われわれ開業医にとって日常診療で最も重要なことの一つに癌の早期発見がある。癌は体中至るところに発生し得るが通常、皮膚・消化管・気道等の上皮粘膜から発癌する。その初期症状は血痰・下血・鼻出血・血尿等の微小出血、即ち破綻した血管の小孔が出現する。その際、痛みや機能障害を起こすことは少ない。癌の早期発見は重要である▼癌だけではない。中国の韓非子は約2250年前「千丈之堤以螻蟻之穴潰(千丈せんじょうつつみ螻蟻ろうぎあなってついゆ)」と言った。巨大な堤防でも小さなアリの穴から決壊してしまう。今日の日本において永く続いた自民党による大量の膿(裏金)の溜まった堤防が崩壊しつつある▼蟻の一穴は神戸学院大学法学部の上脇博之教授がしんぶん赤旗の記事を論拠にして検察庁に刑事告発したことに始まるとされる。今回の自民党の醜態は身から出た錆であろう。長年の自民党への大企業や団体の献金が政治を歪めてきた。日本の30年に及ぶ不景気、低成長は安易な円安政策、献金する大企業や団体だけへの見返りの結果である▼今回の一連の摘発は、安倍政権時代の内閣から司法への人事介入(黒川検事長の件)等、三権分立を無視した内閣に対する検察からの意趣返しか? 岸田首相による他派閥(二階・安倍)への復讐か? 党内の検察と同調している一部勢力が自浄作用を起こしているのか? いずれにせよ上脇教授の歴史に残る快挙と称えたい。学生時代の安保闘争の「一点突破全面展開」を彷彿させる。(鼻)
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