兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年3月15日(2064号) ピックアップニュース

燭心

 3月15日は「万国博デー」なのだそうだ。1970年のこの日、大阪の千里で日本万博がオープンした。それを記念して定められたという。高度経済成長でアメリカに次ぐ世界第二の経済大国となった日本を象徴する、国家プロジェクトとして行われた。アポロ12号が持ち帰った「月の石」を一目見ようと、真夏も長蛇の列ができた▼一方、ベトナム戦争は激化し、世界で反戦運動が高揚していた。国内では公害問題が各地で勃発しており、ご当地大阪でも、西淀川や堺などで大気汚染が深刻化して、多くの人が苦しんでいた。何が〝人類の進歩と調和〟だと、複雑な思いを抱いていた、高校生の当時を思い出す▼さて、あれから半世紀、来年また「大阪万博」である。今、突貫工事が行われている最中とか、いや、工事は遅れに遅れて、開催が危ぶまれているとのニュースも聞く。建設予算は膨張し、当初の見込みの倍になる。負担にあえぐ大阪府民からは悲鳴が上がっている。今や、維新支持層でさえ「万博不要」が65%だとか▼この半世紀、一体何が変わったのだろうか?日本の経済成長は止まり、世界第4位となった。少子高齢化で、将来の人口減が見える。いつまでもオリンピックや万博で浮かれている時代ではないだろう。ましてや、万博の後はカジノでは、今や市民の理解は得られまい。「ストップ万博、震災支援」の声が胸に響く。被災者の生活再建や社会保障のために金を使う、成熟した国に一日も早く変わってほしいものである(星)
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