兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年3月25日(2065号) ピックアップニュース

参加記 オンライン資格確認義務不存在確認訴訟
「もう傍観者ではいられない!」
評議員  島津 俊二

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記者会見・原告説明会でこれまでの経緯が説明され、全国の参加者が意見交換(2月29日)

 東京協会が中心となり国を相手に起こした「オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟」第5回口頭弁論(前号既報)に参加した島津俊二評議員の報告を掲載する。

 本訴訟は日本医療の根幹である保険診療を揺るがす問題であるので、他人事ではなく自ら参加しなくては、との思いで初めて裁判というものに参加してきました。われわれ原告団は1000人を超す大所帯、当日参加の原告傍聴人も多数おり、裁判所はほぼ満席となり、開始されました。
 今回は第5回目の口頭弁論でありましたが、「口頭」とはいうものの、書面で互いの意見を主張し合うということでしょうか、初めての裁判はあっという間に終わってしまいました。やや拍子抜けの感はありましたが、そのあとの説明会が圧巻でした。東京協会の皆さんと弁護人に過去4回の口頭弁論の経緯をお話いただき、分厚い資料の説明では弁論大会(ディベート大会)のやり取りさながらの国との意見の応酬でした。本当に関係者の皆さんの努力には頭が下がる思いです。私は勝利を信じております。
 われわれの主張するところ
「オン資の義務は違法であり、無効であること、われわれ保険医の職業上の権利を侵害するものである。」

 裁判後、別会場へ移動して開かれた説明会では、全国より参加された方々から質問や報告がありました。
 人口減少による地方の医療従事者の減少、廃院問題と都市部集中による医療難民問題が取り上げられました。また歯科において如実の傾向がみられるのですが、オン資について設備投資ができない、対応の従業員を雇うことができない、そして医院長自身が高年齢で対応ができない問題の報告がありました。
 患者側からも発言があり、「40数年前からの主治医がオン資対応できず悩んだ末に閉院を決めたとの突然のたよりに高齢の親が悩んでいる」との涙ながらの報告でした。
 私は歯科で、昔のことでありますが、ご高齢の先輩歯科医師が見事に義歯の印象を取り、後の調整も的確にこなしていました。その年齢にはその年齢、ベテランの歯科医師が必要なのだと思いました。
 不備だらけのマイナ保険証制度のために、有能ベテラン医師、歯科医師を保険医療の現場から退場させるべきではありません。これでは日本の医療の崩壊は間違いありません。
 今回、兵庫協会代表として、「健康保険証の存続を求める意見書」(現行の保険証を資格確認書と同等に扱うことを求める)が川西市議会で採択されたことを報告させていただき、会場からは多数の拍手をいただきました。川西に続きたい、どのようにしたのかと質問されましたし、勇気をもらえたとも言われました。「この一つの採択が大事なのだ」とも言われ、バタフライ効果のごとく、全国に広まることを望むばかりです。
 現在マイナ保険証の公務員の利用率(2023年11月時点)はわずか4.36%! 公務員でさえ普及していません。何が危ないのか公務員は知っているのかもしれません。民主主義で最も尊重すべき点は個人の人権が守られることです。つまり監視管理されない自由を確保することだと思います。いかがでしょうか。
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