兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2024年4月25日(2068号) ピックアップニュース

主張 武器輸出解禁と日本国憲法
「戦争に加担する国づくり」食い止めよう

 岸田政権が2022年12月、国会での審議を経ることなく、安保3文書を改定し、「敵基地攻撃能力」の保有に踏み切り、軍事費をGDPの2%へと倍増する軍備拡大政策を打ち出してから約1年半が経過した。
 現政権は憲法の定める平和主義に基づく国の在り方を根底から覆し、「戦争国家」へと突き進む勢いを、いっそう加速させている。
 2024年3月26日には、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定し、英国、イタリア、日本とで開発した「最先端の殺傷能力」を持つ次期戦闘機を、日本から第三国に輸出できるという方針を、閣議決定にて打ち出した。
 いよいよ日本は「平和国家」の理念を投げ捨て、国際紛争の激化に乗じ、市場拡大のためには、軍需産業への積極的財政投入をも躊躇しない「死の商人国家」の一角とみなされ、国際的な世論の批判を免れない情勢にある。
 ところで、日本国憲法の根幹をなす平和主義は、世界的大戦を経験した当事国として、自国及び関連国において深甚な被害をもたらした経緯をふまえ、未来永劫に平和を真摯に祈願する私たち国民が、世代を超えて「自らの意思」により選択してきたものである。
 しかるに、第二次安倍政権以来、日米軍事同盟下での集団的自衛権の行使の容認、敵基地攻撃能力の保有、さらには「武器輸出三原則」の実質的な破棄など、平和憲法に抵触しかねない多くの重要な決定や方針が、私たちの選出した代議員による意思決定機関である国会において、十分な審議がなされないまま、「閣議決定」という形で強行されてきた。
 「閣議決定」という、意思決定のプロセスが完全には公開されない形で、「国の在り方」そのものに関わる重要事項が決定されてしまうことに強い懸念を抱いている。
 そして、政権が国会での審議を軽視するかのような近年の傾向の一因として、国政選挙における低投票率の影響が大きいのではないかと考える。「誰が政治をやっても、世の中は変わらない」というプロバガンダが、かつて独裁的政権を生み出してきたという歴史を振り返るべきである。
 現政権が「平和国家」の理念を覆し、「戦争に加担する国づくり」に向かうことのないよう、私たちが確実にできることは、国政選挙において投票に行くこと、高い投票率を達成することが、現政権の暴走を食い止める最大の抑止力になる。
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