2025年4月15日(2099号) ピックアップニュース
解説 今日の歯科医療をめぐる情勢と「保険でより良い」署名の意義(下)
患者・国民の要求を実現する歯科署名
~患者・国民の受療権保障のために~
歯科部会は現在、①窓口負担の引き下げ、②保険適用範囲の拡大、③国の歯科予算の大幅拡大を要求項目とする「保険でより良い歯科医療を求める」請願署名に取り組んでいる(6月下旬まで開催される通常国会に提出予定)。本署名の意義と歯科医療を巡る情勢を解説する後編。
前回、医療機関側から見た歯科医療提供体制の危機を見たが、患者、国民の要求はどうだろうか。
「保険でより良い歯科医療を」全国連絡会による「歯科医療に関する市民アンケート」(2021)結果から見てみよう。
特に保険外の治療の保険適用について尋ねると、賛成が77%にものぼる(図2)。窓口負担割合別の負担感を見ると、3割では「重い」が41%にのぼり、2割で27%、1割でも20%が「重い」としている(図3)。政府は高額療養費制度の改悪をはじめ患者の窓口負担を引き上げる計画を次々に進めようとしているが、経済的な理由による受診抑制が強まり、患者・国民の健康を害することが危惧される。
全国で前回実績の7万筆超、兵庫で1万筆の目標に向け、さらなるご協力を呼びかけるものである。
前回、医療機関側から見た歯科医療提供体制の危機を見たが、患者、国民の要求はどうだろうか。
「保険でより良い歯科医療を」全国連絡会による「歯科医療に関する市民アンケート」(2021)結果から見てみよう。
保険適用範囲拡大と窓口負担軽減が国民の願い
アンケートによると「安心して歯科治療を受けられるよう希望すること」を聞いたところ、「すべての治療が保険で受けられるように」が65.3%と最も多く、次いで「窓口負担を軽くしてほしい」が53.1%で(図1)、保険適用範囲拡大と窓口負担軽減が国民の願いであることがわかる。特に保険外の治療の保険適用について尋ねると、賛成が77%にものぼる(図2)。窓口負担割合別の負担感を見ると、3割では「重い」が41%にのぼり、2割で27%、1割でも20%が「重い」としている(図3)。政府は高額療養費制度の改悪をはじめ患者の窓口負担を引き上げる計画を次々に進めようとしているが、経済的な理由による受診抑制が強まり、患者・国民の健康を害することが危惧される。
新技術の評価や保険導入も実現
不十分とは言え署名の成果は確実にあがっている。例えば昨年6月改定の変更点として①抜髄や生活歯髄切断に対して麻酔薬剤料が算定可能になったこと、②歯髄保護処置、歯髄切断、抜髄、感染根管処置、根管貼薬処置、加圧根管充填処置がそれぞれ引き上げられたこと、③歯周病処置(P処)の算定が、特定薬剤の「注入」から「使用」に変更になり、軟膏の塗布も可能になったことなどは、保団連が長年厚労省に署名などとともに要請してきた件だ。まとめ
すべての国民が、いつでも、どこでも、お金の心配なく歯科治療を受けられるようにするためには、政府の社会保障費抑制政策を転換するとともに、歯科関連予算を増加し、低すぎる診療報酬の引き上げと保険適用範囲の拡大・窓口負担の引き下げを実現していくことが求められる。今こそ医療者と国民が手を携え、全国規模での「保険でより良い歯科医療を」求める請願署名に取り組まなければならない。全国で前回実績の7万筆超、兵庫で1万筆の目標に向け、さらなるご協力を呼びかけるものである。
図1 安心して歯科治療を受けられるよう希望することは(三つ選択)
図2 健康保険外の歯科治療の保険適用について
図3 歯科受診にかかる経済的負担感について