兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年4月25日(2100号) ピックアップニュース

会員意見実態調査【④税務・経営】
医療費抑制・物価高騰 医療機関経営を直撃

 協会が昨年10~11月に実施した2024年度会員意見実態調査結果を紹介するシリーズ。今号は医療機関の税務・経営について紹介する。
収入「減った」4割 経費「増えた」5割超
 2023年度分の医業収入(自由診療含む)を2022年度と比較すると、「増えた」との回答は20.8%(医科19.1%、歯科24.4%)、一方「減った」は44.1%(医科47.4%、歯科37.0%)と前回39.4%より増加した(図1)。
 同様に医業経費を比較すると「増えた」が53.8%と、前回の35.0%から20%近く増加した。「変わらない」は例年45%前後だったが今回は25.4%と大幅に減った(図2)。
 低診療報酬と合わせ、昨今の物価高騰や最低賃金の引き上げが医療機関経営に大きな影響を与えていることが明らかになった。
 2023年度分の確定申告の形態については、「医療法人」26.5%が最も多く、「青色実額」が24.9%。「青色4段階」15.1%、「一人医療法人」9.5%と続いた。医科では「一人医療法人」11.2%、「医療法人」31.1%となり、医療法人が計42.2%と4割超を占める一方、歯科では「青色実額」「青色4段階」が計56.3%となっている。
消費税「損税」解消 半数が要望
 医業税制に対する改善要求(複数回答)では、「医療に係る消費税問題の解消」との要望が44.6%と、その他の「事業税非課税措置の存続」(28.9%)、「医療法人制度の改善」(19.7%)を引き離して最も多かった。
 物価が高騰するなか消費税負担も増え、消費税の「損税」の解消は深刻な要望となっており、協会や保団連が求める「ゼロ税率」の導入で、患者負担なく「損税」を解消することが求められる。
 また、23.0%が「インボイス制度の実施中止」を求めている。消費税免税事業者の医療機関が、医師会などから健診事業を請け負いインボイスの提出を求められ、消費税課税事業者となるか、委託料を減額されるか難しい選択を迫られている状況が予想される。
就業規則など整備すすむ
 作成している規則や規定については、各項目緩やかだが上昇傾向にある(図3)。
 就業規則は職員10人以上の事業所に作成が義務付けられており、医科歯科ともに職員10人未満の医院が多い中、75.1%が就業規則があると回答。働くうえでのルールを整備し、働きやすい環境づくりに力を入れていることがわかる。
 2022年4月より中小企業にも義務付けられた「ハラスメント防止規定」については17.3%とまだ低い。人手不足が深刻となるなか職場環境の整備も課題である。
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