2025年5月25日(2102号) ピックアップニュース
燭心
高校時代に超優秀な同級生がいた。有名な国立大工学部に進学し、専攻は航空工学。同窓会で彼が言うに、日本やドイツのような敗戦国が再軍備して戦闘機を造らぬように、米国等が航空機産業の再建はさせなかった。その結果敗戦国・ドイツや日本の自動車産業に理系の優秀な人材が集まった▼友人は自動車会社に就職して燃費の良い小型の内燃機関の研究をして企業に貢献した。災い転じて福となす(戦国策)。敗戦後、日本が経済大国に成長したのも軍事産業から平和産業に転換したからだ。船舶にしても日本には巨大なDOCK(船渠:せんきょ)が多数あり、造船は屋外で製造する特殊性があり3Kの仕事だが、勤勉で利発、手先の器用な日本人には最適であった▼米国は、五大湖周辺の錆びた自動車工業地帯、造船業の衰退......約30年前に脱工業化として金融・通信やAI等へ移行したが、再び製造業に回帰しようとしている。今さら無理だろう。自動車にしても国内市場が大きく、左ハンドル、燃費が悪く重いので、日本の道路事情に合わない。戦後米国のGDPは世界の4割であったが、今は4分の1。いずれ中国に抜かれる。その焦りもあるのか▼米国一辺倒は、今後の日本にとって良いことなのか? もしも中型の燃費の良い旅客機を日本人が作ったら安全で、滑走距離が短く世界に誇れるだろう。単車や自動車で最高のものを作っている平和憲法下の日本に対して、食料とエネルギーを自給できるトランプは何を恐れているのか?(鼻)