兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年6月15日(2104号) ピックアップニュース

九条の会・兵庫県医師の会 講演会
安全保障のジレンマに陥る「抑止力」の有効性に疑問

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日本は「貧国強兵」化していると批判した宮﨑氏

 協会が運営に協力する九条の会・兵庫県医師の会は5月24日、協会会議室で講演会「『貧国強兵』化する日本-安全保障のあり方を問う-」を開催。明海大学経済学部准教授の宮﨑礼二先生が講師を務め、17人が参加した。
 宮﨑氏は、政府は2021年度時点でGDPの1%(約5兆円)だった防衛費を27年度には2倍にする方針とし、補正予算を含めれば25年度に9兆円に達する可能性がある一方、社会保障費は1.5%伸びているものの物価上昇を考慮すると実質マイナスで、今の日本政府は、軍事力の増強を最優先し、国民生活を後回しにするという「貧国強兵」を進めていると批判。また、その背景には軍産複合体の利権があると指摘した。
 戦争放棄を掲げる憲法9条は政府・与党にとって「邪魔な存在」であり、正面からの改憲ではなく、自衛隊の海外派遣、特定秘密保護法、武器輸出緩和などを進めていくことで、9条の空文化を進めているとした。
 現在、国会で審議されている学術会議法人化法案もその一つであり、戦争に協力した反省から軍事研究を拒否する学術会議の姿勢を転換させようとするものと批判した。
 政府は軍拡を「抑止力」のためとしているが、日本が軍事力を増やせば、周辺国も軍拡を進め、日本がさらに軍拡を進めるという軍拡の悪循環に陥り、緊張とリスクが高まり、安全保障のジレンマに陥るとし、安全保障には、軍事力だけでなく、経済、外交、文化、人的交流など、多様な手段が必要と、氏は強調した。
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