2025年6月25日(2105号) ピックアップニュース
特集 参議院選挙
候補者インタビュー①
協会は従来より、国政選挙にあたっては、各党や各候補者の医療政策などを広く会員に知らせ、投票判断に資するべく務めてきた。今回の参議院選挙にあたっては、6月初旬時点で立候補を表明していた各予定候補者に「保険医の重点要求(案)」(本紙6月5日付掲載)を示し、インタビューを依頼。6月17日現在で、国民民主党・新人の多田ひとみ氏、日本共産党・新人の金田峰生氏、社会民主党・新人の来住文男氏がインタビューに応じたので、紹介する。
元JR職員として鉄道や医療など
来住氏は、「『希望を運ぶ政治』をスローガンに頑張っていきたい」と述べ、鉄道の現場で勤務してきた経験から、鉄道の他、同様の社会インフラである医療制度を守りたいと述べた。
診療報酬の低さの背景には「軍事費や大企業減税に偏った財政配分」があるとし、「今や軍事予算は8兆円を超える一方で、医療や介護に十分な予算が回っていない。徴税のあり方、支出の優先順位を根本から見直すべき」と強調した。特に消費税については、「『社会保障のため』と導入されたが、実際にはその恩恵が現場に届いていない」と疑問を呈し、「消費税減税・ゼロ、大企業からの公平な課税で財源を確保すべき」との姿勢を明らかにした。
また、自身の配偶者が介護福祉士であることから「妻が長年介護の現場で働いてきたが、バイクで訪問先を回り、雨の日も風の日も身体を酷使して、体がボロボロになっている」と語り、「人間として当たり前の行為を支える仕事に、もっと敬意と対価があってしかるべき」と憤りを語った。
マイナ保険証については、「無駄でしかない。なぜ国にここまで個人情報を管理されなければならないのか。仕組みも複雑で、トラブルが起きるのは目に見えていた」と、制度の導入自体に疑問を呈した。
歯科医療の現状にも言及。「歯科衛生士や歯科技工士の待遇も改善が必要。歯の健康は全身の健康に直結する。歯を失うことで栄養が摂れず、認知機能にも影響が出る。こうした基礎的な部分への支援が軽んじられすぎている」と語った。
政治資金のあり方については、「企業・団体献金は禁止にすべき。地方議員の選挙でも裏金のような話が出てきている。国民の信頼を損なう金権政治は、社会保障を後回しにする政治を支えるもので、許してはいけない」と強く訴えた。
社会保障を軸に税と予算の再構築を
金田氏はまず、「消費税減税こそ最大の生活支援策」と強調し、社会保障のためとされてきた消費税について「逆進性が強く、庶民を苦しめる不公平な税制だ」と批判。医療機関が負担している控除対象外消費税の是正も求めたうえで、税率を10%から5%に引き下げることを公約に掲げているとした。財源については、大企業・富裕層への行き過ぎた法人税・所得税減税をただすことにより十分に対応可能とし、「庶民の懐が温まれば消費も税収も増える」と語った。
医療政策では、「必要なときにお金の心配なくかかれる医療を保障すべき」とし、窓口負担の軽減、最終的にはゼロをめざすと述べた。
また、診療報酬引き上げ、医師・看護師の増員、公立病院の再建・拡充が不可欠と指摘し、「医療費削減を〝財政効果〟として計算するような政治は異常」と、政府・与党による高額療養費の上限引き上げやOTC類似薬の保険外し、病床削減政策を強く批判した。医療は単なるコストではなく、命を守るための社会的インフラであり、憲法25条に基づき国の責任で保障されるべきだと力を込めた。
防衛費の増大に対しては、「敵基地攻撃能力など過剰な軍拡は、かえって緊張を高める」と懸念を示し、「本当に国を守るとは、食糧自給と地域経済の安定こそ」と主張した。兵庫の農業・漁業の持つ可能性を活かした、食料自給体制の確立こそが「暮らしの防衛」であると訴えた。
さらに、裏金問題についても言及し、「政治を歪めているのは企業・団体献金の構造だ」と断じ、同党が提出している企業献金禁止法案や政党助成金廃止法案の意義を説明。「お金の力ではなく、国民の声で動く政治」を実現する必要があると語った。
金田氏は「社会保障はお荷物ではなく、地域に雇用と需要を生む経済政策だ」と繰り返し強調。医療・介護・保育への公的投資を拡大することが、地域経済を支え、将来的には税収を増やす好循環をもたらすと述べ、「医療や社会保障を中心に据えた税と予算の組み直しが必要だ」と語った。「兵庫のすみずみに暮らしの安心を届けたい」と、金田候補は力強く訴えた。

手取りを増やし、景気を底上げする
経済産業省出身で中小企業政策にも携わってきた多田ひとみ氏は、「いま一番伝えたい政策は、〝手取りを増やす〟こと」と述べ、国家公務員としての経験と、公認会計士として企業の経営にも深く関わってきた実績をもとに、経済の根本的立て直しを訴えた。
また、「私が中心に据えているのは、減税によって国民の手どりを増やすことだ」と述べ、その具体策の一つとして「103万円の壁」を「178万円」まで引き上げるという政策を掲げ、「この変更によって、平均して年15万円の手取り増が見込まれる」と強調。さらに、消費税を段階的に5%まで引き下げることで、景気回復を図る考えも示した。
また、企業会計の専門家として、「2024年には企業の経常利益が過去最高を記録したが、その恩恵が労働者には届いていない」として、企業の利益が主に株主配当等にまわり、労働分配率(企業の付加価値のうち人件費に充てられた割合)が低いことを指摘。
多田氏は「労働分配率の見える化」のために「企業の『通信簿』として、労働分配率を国民に公表する仕組みを導入し、働く人に優しい企業かどうかを見える形にしたい」と述べ、景気が良くなれば賃金が上がる、そんな健全な経済循環をつくるための制度整備が必要だと強調した。
もう一点、多田氏が力を込めるのが中小企業支援。「日本企業の99%は中小企業。現場の声を聞いていると、支援制度が使いづらいという不満が根強い」とのべ、「DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、簡便で申請しやすい制度へと再設計すべき」と訴えた。
物価高で苦しむ医療現場について、「病院では『転嫁できない消費税』が発生している」「減税は病院経営にとって非常に大きな意味を持つ」と述べた。

元JR職員として鉄道や医療など
社会インフラ守る政治へ
社会民主党 来住(きし) 文男氏
来住氏は、「『希望を運ぶ政治』をスローガンに頑張っていきたい」と述べ、鉄道の現場で勤務してきた経験から、鉄道の他、同様の社会インフラである医療制度を守りたいと述べた。
診療報酬の低さの背景には「軍事費や大企業減税に偏った財政配分」があるとし、「今や軍事予算は8兆円を超える一方で、医療や介護に十分な予算が回っていない。徴税のあり方、支出の優先順位を根本から見直すべき」と強調した。特に消費税については、「『社会保障のため』と導入されたが、実際にはその恩恵が現場に届いていない」と疑問を呈し、「消費税減税・ゼロ、大企業からの公平な課税で財源を確保すべき」との姿勢を明らかにした。
また、自身の配偶者が介護福祉士であることから「妻が長年介護の現場で働いてきたが、バイクで訪問先を回り、雨の日も風の日も身体を酷使して、体がボロボロになっている」と語り、「人間として当たり前の行為を支える仕事に、もっと敬意と対価があってしかるべき」と憤りを語った。
マイナ保険証については、「無駄でしかない。なぜ国にここまで個人情報を管理されなければならないのか。仕組みも複雑で、トラブルが起きるのは目に見えていた」と、制度の導入自体に疑問を呈した。
歯科医療の現状にも言及。「歯科衛生士や歯科技工士の待遇も改善が必要。歯の健康は全身の健康に直結する。歯を失うことで栄養が摂れず、認知機能にも影響が出る。こうした基礎的な部分への支援が軽んじられすぎている」と語った。
政治資金のあり方については、「企業・団体献金は禁止にすべき。地方議員の選挙でも裏金のような話が出てきている。国民の信頼を損なう金権政治は、社会保障を後回しにする政治を支えるもので、許してはいけない」と強く訴えた。
(聞き手 川西敏雄参与)

社会保障を軸に税と予算の再構築を
日本共産党 金田 峰生氏
金田氏はまず、「消費税減税こそ最大の生活支援策」と強調し、社会保障のためとされてきた消費税について「逆進性が強く、庶民を苦しめる不公平な税制だ」と批判。医療機関が負担している控除対象外消費税の是正も求めたうえで、税率を10%から5%に引き下げることを公約に掲げているとした。財源については、大企業・富裕層への行き過ぎた法人税・所得税減税をただすことにより十分に対応可能とし、「庶民の懐が温まれば消費も税収も増える」と語った。
医療政策では、「必要なときにお金の心配なくかかれる医療を保障すべき」とし、窓口負担の軽減、最終的にはゼロをめざすと述べた。
また、診療報酬引き上げ、医師・看護師の増員、公立病院の再建・拡充が不可欠と指摘し、「医療費削減を〝財政効果〟として計算するような政治は異常」と、政府・与党による高額療養費の上限引き上げやOTC類似薬の保険外し、病床削減政策を強く批判した。医療は単なるコストではなく、命を守るための社会的インフラであり、憲法25条に基づき国の責任で保障されるべきだと力を込めた。
防衛費の増大に対しては、「敵基地攻撃能力など過剰な軍拡は、かえって緊張を高める」と懸念を示し、「本当に国を守るとは、食糧自給と地域経済の安定こそ」と主張した。兵庫の農業・漁業の持つ可能性を活かした、食料自給体制の確立こそが「暮らしの防衛」であると訴えた。
さらに、裏金問題についても言及し、「政治を歪めているのは企業・団体献金の構造だ」と断じ、同党が提出している企業献金禁止法案や政党助成金廃止法案の意義を説明。「お金の力ではなく、国民の声で動く政治」を実現する必要があると語った。
金田氏は「社会保障はお荷物ではなく、地域に雇用と需要を生む経済政策だ」と繰り返し強調。医療・介護・保育への公的投資を拡大することが、地域経済を支え、将来的には税収を増やす好循環をもたらすと述べ、「医療や社会保障を中心に据えた税と予算の組み直しが必要だ」と語った。「兵庫のすみずみに暮らしの安心を届けたい」と、金田候補は力強く訴えた。
(聞き手 西山裕康理事長・武村義人副理事長)

手取りを増やし、景気を底上げする
国民民主党 多田ひとみ氏
経済産業省出身で中小企業政策にも携わってきた多田ひとみ氏は、「いま一番伝えたい政策は、〝手取りを増やす〟こと」と述べ、国家公務員としての経験と、公認会計士として企業の経営にも深く関わってきた実績をもとに、経済の根本的立て直しを訴えた。
また、「私が中心に据えているのは、減税によって国民の手どりを増やすことだ」と述べ、その具体策の一つとして「103万円の壁」を「178万円」まで引き上げるという政策を掲げ、「この変更によって、平均して年15万円の手取り増が見込まれる」と強調。さらに、消費税を段階的に5%まで引き下げることで、景気回復を図る考えも示した。
また、企業会計の専門家として、「2024年には企業の経常利益が過去最高を記録したが、その恩恵が労働者には届いていない」として、企業の利益が主に株主配当等にまわり、労働分配率(企業の付加価値のうち人件費に充てられた割合)が低いことを指摘。
多田氏は「労働分配率の見える化」のために「企業の『通信簿』として、労働分配率を国民に公表する仕組みを導入し、働く人に優しい企業かどうかを見える形にしたい」と述べ、景気が良くなれば賃金が上がる、そんな健全な経済循環をつくるための制度整備が必要だと強調した。
もう一点、多田氏が力を込めるのが中小企業支援。「日本企業の99%は中小企業。現場の声を聞いていると、支援制度が使いづらいという不満が根強い」とのべ、「DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し、簡便で申請しやすい制度へと再設計すべき」と訴えた。
物価高で苦しむ医療現場について、「病院では『転嫁できない消費税』が発生している」「減税は病院経営にとって非常に大きな意味を持つ」と述べた。
(聞き手 川西敏雄参与)