兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年7月25日(2108号) ピックアップニュース

燭心

 「力による現状変更は認めない」この言葉を日本の政治家はよく使う。ここで言う「力」とは軍事力のことだ。ロシアによるウクライナ侵攻、中国による海洋進出などを念頭においての発言が多い。それでは今回のアメリカによるイラン核施設攻撃はどうなるのだろう。多くの人にとっては国際法違反の攻撃だと思うが、日本政府は明言を避けた。なんとも歯切れが悪い。同じように世界で唯一の被爆国である日本が、核兵器廃絶に向けての発言を避けている。これらの姿をみていると、独立国として自分の意思を発言できないのかと、情けない限りである▼一方で戦争は紛争解決の一つの手段であるとの解釈もある。外交により紛争が解決しない場合には、宣戦布告して力比べとしての戦争をする。古来ヒトは領土を守るため、資産を守るために、宗教やイデオロギーが一致しないために戦争をしてきた▼第二次世界大戦後のこの80年間は歴史上、唯一大きな戦争のない期間である。その中にあって、わが国は「紛争解決の手段としての戦争を放棄する」と憲法に明言している唯一の国である。もっとも自国の防衛をアメリカに依存している現状は危険と隣り合わせでもあることを忘れてはならない。アメリカや中国、ロシアなど平気で軍事力を行使する国々の中で、毅然とした姿勢を示していかなければならない。そのためには十分な情報収集の上に成り立った平和外交で、時として狡猾な対応も辞さない交渉術を磨く必要があると思う(際)
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