2025年7月25日(2108号) ピックアップニュース
主張 強きを助け弱きをくじく「骨太の方針」
政府は6月13日に、予算編成の方針を示す「経済財政運営と改革の基本方針 2025」、いわゆる骨太の方針を閣議決定した。
「骨太の方針」は、原案を財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会が作成し、政府が閣議決定しているものだ。財務省が中心となっており、「財政規律」を理由に予算の削減ばかりが示されている。
しかし、医療・社会保障制度は国民の生命・健康に直結し、憲法25条等で政府が保障しなければならないと定められている。「財政健全化」を理由に機械的に削減していいものではないにも関わらず、「骨太の方針」では、国民の命と健康を脅かす社会保障費抑制政策ばかりが並んでいる。
まず、次期診療報酬改定については、「経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う」と一定の対応をとることを示唆しているが、前回改定のベースアップ評価料のように一部の職種の賃上げのみを対象とするのではなく、基本診療料の大幅引き上げが行われるかは不透明だ。
一方で、自民・公明・維新の3党が合意した「医療費4兆円削減」をベースとし、医療費削減計画が具体的に記載されている。
その内容は前号にて詳細に紹介しているが、国民の大きな反発を受け見送られた高額療養費制度見直しは「長期療養患者などの意見を丁寧に聴いた上で、秋までに方針を決定する」としており、すでに専門家委員会で議論が始まっている。
とりわけ「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し」が盛り込まれていることには注意が必要だ。OTC類似薬の保険給付範囲の縮小が進められると、医師の診断なしに患者が自己判断で薬をのむケースが増え、別の疾病を見逃したり、重症化してしまう危険性がある。また、保険給付から外れることで、患者の自己負担は確実に重くなる。自己負担が数十倍になるケースもあり、経済的に余裕のない患者が必要な薬を手に入れられなくなる可能性もある。
参議院選挙では、自公維以外の各党も、OTC類似薬見直しを公約に盛り込んでいる。国民民主党は「公的医療保険の対象から見直す」、議席の大幅増が報じられている参政党は「薬局で購入可能なOTC医薬品で対応可能な疾病は原則処方しない」としており、立憲民主党も「軽症患者の医療費の見直し」と記載している。
「医療崩壊」を引き起こした小泉構造改革で削減された医療費は1兆円。「4兆円削減」が具体化されれば各地の地域医療は崩壊するだろう。協会は国民の命と健康を蔑ろにし、財界中心の政府の政策に警鐘を鳴らし続けてきた。
参議院選挙で、多くの新しい議員が誕生した。国民のための社会保障の充実を考える議員とともに、運動を強化する方針である。
「骨太の方針」は、原案を財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会が作成し、政府が閣議決定しているものだ。財務省が中心となっており、「財政規律」を理由に予算の削減ばかりが示されている。
しかし、医療・社会保障制度は国民の生命・健康に直結し、憲法25条等で政府が保障しなければならないと定められている。「財政健全化」を理由に機械的に削減していいものではないにも関わらず、「骨太の方針」では、国民の命と健康を脅かす社会保障費抑制政策ばかりが並んでいる。
まず、次期診療報酬改定については、「経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う」と一定の対応をとることを示唆しているが、前回改定のベースアップ評価料のように一部の職種の賃上げのみを対象とするのではなく、基本診療料の大幅引き上げが行われるかは不透明だ。
一方で、自民・公明・維新の3党が合意した「医療費4兆円削減」をベースとし、医療費削減計画が具体的に記載されている。
その内容は前号にて詳細に紹介しているが、国民の大きな反発を受け見送られた高額療養費制度見直しは「長期療養患者などの意見を丁寧に聴いた上で、秋までに方針を決定する」としており、すでに専門家委員会で議論が始まっている。
とりわけ「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し」が盛り込まれていることには注意が必要だ。OTC類似薬の保険給付範囲の縮小が進められると、医師の診断なしに患者が自己判断で薬をのむケースが増え、別の疾病を見逃したり、重症化してしまう危険性がある。また、保険給付から外れることで、患者の自己負担は確実に重くなる。自己負担が数十倍になるケースもあり、経済的に余裕のない患者が必要な薬を手に入れられなくなる可能性もある。
参議院選挙では、自公維以外の各党も、OTC類似薬見直しを公約に盛り込んでいる。国民民主党は「公的医療保険の対象から見直す」、議席の大幅増が報じられている参政党は「薬局で購入可能なOTC医薬品で対応可能な疾病は原則処方しない」としており、立憲民主党も「軽症患者の医療費の見直し」と記載している。
「医療崩壊」を引き起こした小泉構造改革で削減された医療費は1兆円。「4兆円削減」が具体化されれば各地の地域医療は崩壊するだろう。協会は国民の命と健康を蔑ろにし、財界中心の政府の政策に警鐘を鳴らし続けてきた。
参議院選挙で、多くの新しい議員が誕生した。国民のための社会保障の充実を考える議員とともに、運動を強化する方針である。