兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年9月05日(2111号) ピックアップニュース

燭心

 トランプ大統領がNATO加盟国だけでなく、アジア同盟国にもGDP比5%の軍事費を求めてきた。長らく憲法9条の理念に基づき1%以内に保ち、近年の急増でも2%弱のわが国にとり由々しき問題である。履行するには医療福祉の充実と逆方向に舵を切るしかないが、これで本当に平和が勝ち取れるのだろうか▼この問題に適切なアドバイスをくれたのが新外交イニシアティブ(ND)の猿田佐世弁護士だ。保団連夏季セミナーで氏は「外交で平和を作る」実践をわかりやすく説明した。日本は22年時点で米露中印に次ぐ5番目の軍事大国だが、中国の5分の1。台湾有事が起こってしまえば消えてなくなる運命だ▼日本が行うべき外交は対中「安心供与」つまり「一つの中国」を尊重し、他方世界に向け、「米中のいずれかを選ばせるな」と宣言することだ。ASEANの国々はその「対応力と一体化の強化」を求め、「米中のいずれかを選ぶ」という意見は8%に過ぎない。仏のマクロン大統領も「リスクは(米中が)他国に対してこちら側を選べと指示してくることだ」「欧亜が協力して自立のための連合、脅迫されないための連合を築くことを呼びかけたい」と述べたという▼私たちができること、そしてやるべきことは「人権・民主主義・ 法の支配」実現への取り組みを行い、そしてきちんと外交を行う政府を選ぶこと。姉妹都市や交換留学生など様々な外交(マルチトラック外交)の一翼を担うことだ。本当の平和に乾杯。(酔)
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