2025年10月05日(2114号) ピックアップニュース
環境・公害対策部「明石川流域PFAS汚染視察会」
環境・公害対策部は9月7日、「明石川流域PFAS汚染学習会&視察会」を開催し、会員ら21人が参加した。PFASによる水質汚染が問題となっている明石川流域を、住民でつくる「PFAS問題を考える西区有志の会」の松本勝雄氏の案内で見学した。参加した松浦伸郎先生と眞田幸昭先生の感想を紹介する。
感想文
総勢20人以上の先生方が参加され、地元で熱心にPFAS汚染の実態を調べておられる松本さんがわれわれに地元の現状を詳しく話していただき、その後現場の視察を行った。PFASは全国的にもまだ詳しいことはわかっておらず、今般問題になりかけている物質であり、PFASが検出されないためには予防すべき対象物質も多い。
当日明石川下流域から上流まで明石川の側道をマイクロバスに揺られながら、橋のたもとの堰や川の中心部のPFAS濃度の測定値の資料を見ながら説明していただいた。 明らかに上流のPFAS濃度が高く、その高濃度排泄場所もある程度わかっているように思われた。
高濃度の水路の上流には管理型産廃最終処分場があり、さらに高濃度の水路の上流には安定型最終産廃処分場もある。このため管理型でさえ長年の遮水工の使用で仕切りとなっているビニールシートが劣化し、PFASが流れ出たものと推測された。
もう一方の安定型の産廃処分場では廃棄物からのPFAS流出が直接地中に入り流水に混入したものと考えられた。それ以上は様々な外圧が感じられ十分な解明ができない状況になっていると思われた。
工場から出る化学物質の検出に関しては水俣病やPCB問題などと比較的よく似た経過をたどっている。工場の生産現場では様々な有害物質が排出されることは致し方ない、経済の発展がより重要であるという昭和の戦後経済発展した時期の考えが今もそのまま生きているように感じられる。
すみよい環境を作るには具体的にどうすればよいかを真剣に考え実行する時代がすでに来ているのではないかと思う。それが疾病予防につながるのではないかと思う。
今後は経済界優先の論理で水俣病と同じようなことがPFAS問題にも起こらないよう、経済界や地元の住民を含めた多くの人々が納得できる対策を考え、人々が健康に暮らしていくには地域の河川水が人体に影響を及ぼしていないか今後も十分な観察が必要と思われた。
感想文
9月7日(日)に開催された播州平野東端を流れる明石川流域PFAS視察会に参加した。厳しい残暑の中、術後の身で大変キツかったが、得るところはとても多かった。
無味無臭の上、PFASの認知度がまだまだ低く、欧米のように然したる法的規制もなく、安全基準(註)も定まらないので、実質的に放置されている感が強い。以前からこの問題に真摯に取り組んでこられた松本勝雄さんの説明と引率で、個人ではとても回れない場所を、効率よく見学できてとても感謝しています。有難うございました。
被害が大きくなる前に、いっそうの啓発活動と関連企業による汚染物質の河川への流出、放流を止めさせなければならない。そして、古くから作られているという歴史遺産の堰を通って、田畑に農業用水の一部として使用されているので、農家の方の不安を解消すべく、JA明石も「誰が悪い、カレが悪い」ではなく、食の安心・安全のために、早急に取り組んでいただきたい。農産物への影響については、既に摂津市で経過観察中の事例がある。
この問題は決して明石に限った話ではなく、沖縄県のように米軍基地のある町はもとより、全国に共通した喫緊の課題である。すでに、岡山県吉備町、摂津市(住民が公害調停申請)、愛知県豊川町、東京都多摩地区でも住民運動が立ち上げられている。兵庫県では先んじて積極的な活動をしておられる丸尾牧県議などのPFAS全国オンライン連絡会に、合流することも必要ではないか。明石高専の学生さんたちからもアドバイスをお聞きした方が良い。
上水道管放流前に、活性炭を使用することによって、水道水のPFAS濃度は下がっているとのお話であったが、使用済の活性炭フィルターは、広島県の業者によって、再生利用されているという。広島県保険医協会とも連携して、広島県民の健康を守るため、すぐにでも残留PFASのゆくえをフォローすべきであろう。
岡山県吉備町の事例は、この使用済み活性炭フィルターを、長年の間、処理せず野ざらしにしていたのが原因でPFASが流出した。
河川中や地域住民の血液PFAS測定に加えて、明石川水辺に生息する動物や鳥、淡水魚類を環境省、その他の行政の協力の下、血液採取は勿論の事、遺伝子異常発生率など生物学研究者に経時的に依頼・探索し、場合によっては解剖してみる必要がある。
行政は、住民に不安を与えたくないという意向らしいが、やはり、科学的検証のもと、事実をつまびらかにし、正しい知識があってこそ、被害を予防することができる。
(註)「安全基準は先にあらず」兵庫保険医新聞第2106号(25年7月5日)参照
感想文
産廃下流で高濃度PFAS 疾病予防へ具体的対策を
参加者皆で記念撮影。高濃度のPFASが検出された産廃下流付近で
当日明石川下流域から上流まで明石川の側道をマイクロバスに揺られながら、橋のたもとの堰や川の中心部のPFAS濃度の測定値の資料を見ながら説明していただいた。 明らかに上流のPFAS濃度が高く、その高濃度排泄場所もある程度わかっているように思われた。
高濃度の水路の上流には管理型産廃最終処分場があり、さらに高濃度の水路の上流には安定型最終産廃処分場もある。このため管理型でさえ長年の遮水工の使用で仕切りとなっているビニールシートが劣化し、PFASが流れ出たものと推測された。
もう一方の安定型の産廃処分場では廃棄物からのPFAS流出が直接地中に入り流水に混入したものと考えられた。それ以上は様々な外圧が感じられ十分な解明ができない状況になっていると思われた。
工場から出る化学物質の検出に関しては水俣病やPCB問題などと比較的よく似た経過をたどっている。工場の生産現場では様々な有害物質が排出されることは致し方ない、経済の発展がより重要であるという昭和の戦後経済発展した時期の考えが今もそのまま生きているように感じられる。
すみよい環境を作るには具体的にどうすればよいかを真剣に考え実行する時代がすでに来ているのではないかと思う。それが疾病予防につながるのではないかと思う。
今後は経済界優先の論理で水俣病と同じようなことがPFAS問題にも起こらないよう、経済界や地元の住民を含めた多くの人々が納得できる対策を考え、人々が健康に暮らしていくには地域の河川水が人体に影響を及ぼしていないか今後も十分な観察が必要と思われた。
【姫路市 松浦 伸郎】
感想文
明石川のPFAS 全国で連携し科学的検証を
明石川に沿って上流へ移動しながら見つかったPFAS汚染や周辺の環境を説明する松本さん(右2人目)
無味無臭の上、PFASの認知度がまだまだ低く、欧米のように然したる法的規制もなく、安全基準(註)も定まらないので、実質的に放置されている感が強い。以前からこの問題に真摯に取り組んでこられた松本勝雄さんの説明と引率で、個人ではとても回れない場所を、効率よく見学できてとても感謝しています。有難うございました。
被害が大きくなる前に、いっそうの啓発活動と関連企業による汚染物質の河川への流出、放流を止めさせなければならない。そして、古くから作られているという歴史遺産の堰を通って、田畑に農業用水の一部として使用されているので、農家の方の不安を解消すべく、JA明石も「誰が悪い、カレが悪い」ではなく、食の安心・安全のために、早急に取り組んでいただきたい。農産物への影響については、既に摂津市で経過観察中の事例がある。
この問題は決して明石に限った話ではなく、沖縄県のように米軍基地のある町はもとより、全国に共通した喫緊の課題である。すでに、岡山県吉備町、摂津市(住民が公害調停申請)、愛知県豊川町、東京都多摩地区でも住民運動が立ち上げられている。兵庫県では先んじて積極的な活動をしておられる丸尾牧県議などのPFAS全国オンライン連絡会に、合流することも必要ではないか。明石高専の学生さんたちからもアドバイスをお聞きした方が良い。
上水道管放流前に、活性炭を使用することによって、水道水のPFAS濃度は下がっているとのお話であったが、使用済の活性炭フィルターは、広島県の業者によって、再生利用されているという。広島県保険医協会とも連携して、広島県民の健康を守るため、すぐにでも残留PFASのゆくえをフォローすべきであろう。
岡山県吉備町の事例は、この使用済み活性炭フィルターを、長年の間、処理せず野ざらしにしていたのが原因でPFASが流出した。
河川中や地域住民の血液PFAS測定に加えて、明石川水辺に生息する動物や鳥、淡水魚類を環境省、その他の行政の協力の下、血液採取は勿論の事、遺伝子異常発生率など生物学研究者に経時的に依頼・探索し、場合によっては解剖してみる必要がある。
行政は、住民に不安を与えたくないという意向らしいが、やはり、科学的検証のもと、事実をつまびらかにし、正しい知識があってこそ、被害を予防することができる。
(註)「安全基準は先にあらず」兵庫保険医新聞第2106号(25年7月5日)参照
【丹波市 眞田 幸昭】



