2025年10月15日(2115号) ピックアップニュース
ALS治療薬「ロゼバラミン」供給不安問題で厚労省要請
医薬品の供給体制確保までの見通し示せ

厚労省担当官(右手前)に要請する伊賀理事(左2人目)・広川顧問(左端)、右奥は田村貴昭議員
「ロゼバラミン筋注」はALS発症後初期投与により、症状の進行を抑制できる効果があるとして、昨年9月に薬価承認された新薬。11月よりエーザイ社より販売されたものの、当初の予想を上回る需要があったなどとしてわずか3カ月で限定出荷となり、今も新規の罹患者への投与が滞っている。今年3月には日本ALS協会も早期改善について要望を行っているが、いまだに安定供給への具体的な見通しは示されていない。
伊賀理事は患者からの声として、「適応が発症初期であり、新たに発症した患者は供給を待っている間に適応から外れてしまうかもしれないという不安を抱えている。現時点でどの程度増産が実現できており、どれくらいの患者が待っているかなどが示されなければ安心できない。厚労省がどこまで把握できているのか示してほしい」と要請。
厚労省はエーザイ社は既存の製造ラインのもとで1割程度の増産を実現できており、追加の製造ラインの整備を進めているとしながらも、「今断定的に具体的な数字としてお示しできるものはない」と明言は避けた。
広川顧問は9月12日から協会薬科部が取り組んでいる医薬品「限定出荷」等に関するアンケートに寄せられた薬局の実態を紹介しながら、「ロゼバラミンに限らず、第一選択薬とされる薬の供給が多数滞っている。命に関わる薬剤が手に入らず、保険診療でありながら保険で認められた医療が受けられないという事態だ」と指摘。「原料のほとんどを海外からの輸入に頼っているなど産業構造そのものの問題でもある」とし、「20年のジェネリックメーカーの不祥事以降、こうした医薬品の供給不安が続いている。どのように、いつ解消されていくのか。見通しを示すことは政府の責任だ」と訴えた。
懇談を設定した田村貴昭衆議院議員(共産)も同席し、「多数の患者さんの声であり、増産のロードマップを後日必ず報告し、患者さんに示してほしい」と重ねて要請した。