2025年10月25日(2116号) ピックアップニュース
燭心
今年もノーベル賞の季節がやってきた。昨年は日本被爆者団体協議会(被団協)がノーベル平和賞を授与されたことは記憶に新しい。この項を書いている段階ではまだ一部しか決まっていないが、すでに生理学・医学賞では大阪大学の坂口志文さん、化学賞には京都大学の北川進さんが選ばれた。本当にうれしいことである▼坂口先生は免疫制御において重要な役割を担う制御性T-cellを発見した。北川先生は多孔性の金属有機構造体を作り出し、様々な気体を金属内に封入できることになった。さて、アジアでの受賞者をみてみると、中国の9人、韓国2人、インド3人、日本34人と、日本が圧倒的に多い。特にサイエンスの分野での受賞が29人と圧倒している▼世の中は、政治や経済で動いていると考えていないだろうか。歴史を紐解くと、実は科学技術の発達により、世界が大きく変わっていることがわかる。羅針盤と天文学、地動説が大航海時代を生み、活版印刷が知識を共有させ、意識改革がおこり、物理学や力学から蒸気機関が生まれ、動力や電気を生み、産業革命と経済の大きな変革をおこした。ヒロシマ・ナガサキは原子力の力をまざまざと見せつけ、その制御できないエネルギーがわれわれの生活すべてに影響を与えている▼日本人がこれだけ数多くのサイエンス分野でのノーベル賞を受賞していることこそ、日本の国力として活かす必要がある。是非ともサイエンス立国を目指してほしい。いや目指す義務があると私は思う。(際)



