2025年10月25日(2116号) ピックアップニュース
主張 政府のエネルギー政策への異論
-第7次エネルギー基本計画の問題点
第7次エネルギー基本計画は国会討議を経ることなく今年2月に閣議決定され、今日に至っている。本計画の特徴は、電力需要の増大と温室効果ガスの排出抑制のために、原発を最大限活用する、としたことである。
この計画には多くの疑念がある。原発の危険性や温暖化対策のエネルギーとして活用する問題点について、当会はたびたび指摘してきたので、その他の問題点について指摘する。
AI活用を口実にデータセンター設置を推進し、急激な電力需要の増大を見込んでいるが、その需要予測を裏づける科学的データの開示は極めて乏しい。
また、エネルギー消費構造の見直しという観点が欠けており、現在の重工業を中心とした産業構造の存続を当然視している点も問題である。産業全体を省エネルギー型へと転換しようという発想が乏しく、「より多く、より儲けよう」とする新自由主義の徹底が背景にあると言える。
電気、ガスなどの二次エネルギーを軸にした消費が打ち出されているが、一次から二次エネルギーに転換産生する際のエネルギーロスは膨大で、例えば電気エネルギーの送電ロスにおいて直流送電やスマートグリッド導入などで大きな省エネ効果が見込まれるが、さほど重要視されていない。
水素・アンモニア・合成燃料・合成メタンなどを普及拡大させるシナリオも描かれているが、これらも二次エネルギーであり、どうやって産生するのかの検討が欠落している。水素以外の生成物については、窒素酸化物をはじめとする汚染物質の発生への対処についても明らかにされていない。水素は産生効率の問題を抱えている。
電気自動車の普及は再生可能エネルギーの不足しがちな夜間の電力需要を拡大する。鉄道網の再整備による貨物輸送の復興・有効活用は検討すべきである。
エネルギー創出の観点からは、企業による大規模・乱開発ではなく、分散・地産・地消・環境保護を基本とした自然・再生エネルギーの拡大が望まれる。戸建てや小規模集合住宅においては、太陽光発電のみならず、廃棄時の負担の少ない太陽温水器や地中熱の導入が考えられる。小水力・揚水発電や太陽光発電と電力回線をつなぐ費用の助成制度を整備すれば、ソーラーシェアリングなどがもっと増え、大規模運用が難しく、衰退の一途をたどる農業を再生させる手段や地方の過疎、災害対策ともなりうる。
また、日本の地政学的特徴を生かし、地熱発電を推進し、国公立公園内での地熱発電事業については公営企業をもって行い、乱開発・環境保護に配慮するなどの方策をとるべきである。
ロシア-ウクライナ戦争を受けて、欧州で原発の再開、新増設の動きが出ている。日本政府はこれに追随して原発の最大限の活用を提起しているが、欧州に比し、地震などの災害発生や岩盤の不安定さなどのリスクが考慮されていない。
長期的視点に立ち、科学的データの集積に基づいた、地域創成、一次産業重視、超高齢社会における生活再建につながり、国際貢献にも寄与するようなエネルギー政策が望まれる。
この計画には多くの疑念がある。原発の危険性や温暖化対策のエネルギーとして活用する問題点について、当会はたびたび指摘してきたので、その他の問題点について指摘する。
AI活用を口実にデータセンター設置を推進し、急激な電力需要の増大を見込んでいるが、その需要予測を裏づける科学的データの開示は極めて乏しい。
また、エネルギー消費構造の見直しという観点が欠けており、現在の重工業を中心とした産業構造の存続を当然視している点も問題である。産業全体を省エネルギー型へと転換しようという発想が乏しく、「より多く、より儲けよう」とする新自由主義の徹底が背景にあると言える。
電気、ガスなどの二次エネルギーを軸にした消費が打ち出されているが、一次から二次エネルギーに転換産生する際のエネルギーロスは膨大で、例えば電気エネルギーの送電ロスにおいて直流送電やスマートグリッド導入などで大きな省エネ効果が見込まれるが、さほど重要視されていない。
水素・アンモニア・合成燃料・合成メタンなどを普及拡大させるシナリオも描かれているが、これらも二次エネルギーであり、どうやって産生するのかの検討が欠落している。水素以外の生成物については、窒素酸化物をはじめとする汚染物質の発生への対処についても明らかにされていない。水素は産生効率の問題を抱えている。
電気自動車の普及は再生可能エネルギーの不足しがちな夜間の電力需要を拡大する。鉄道網の再整備による貨物輸送の復興・有効活用は検討すべきである。
エネルギー創出の観点からは、企業による大規模・乱開発ではなく、分散・地産・地消・環境保護を基本とした自然・再生エネルギーの拡大が望まれる。戸建てや小規模集合住宅においては、太陽光発電のみならず、廃棄時の負担の少ない太陽温水器や地中熱の導入が考えられる。小水力・揚水発電や太陽光発電と電力回線をつなぐ費用の助成制度を整備すれば、ソーラーシェアリングなどがもっと増え、大規模運用が難しく、衰退の一途をたどる農業を再生させる手段や地方の過疎、災害対策ともなりうる。
また、日本の地政学的特徴を生かし、地熱発電を推進し、国公立公園内での地熱発電事業については公営企業をもって行い、乱開発・環境保護に配慮するなどの方策をとるべきである。
ロシア-ウクライナ戦争を受けて、欧州で原発の再開、新増設の動きが出ている。日本政府はこれに追随して原発の最大限の活用を提起しているが、欧州に比し、地震などの災害発生や岩盤の不安定さなどのリスクが考慮されていない。
長期的視点に立ち、科学的データの集積に基づいた、地域創成、一次産業重視、超高齢社会における生活再建につながり、国際貢献にも寄与するようなエネルギー政策が望まれる。



