兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年11月15日(2118号) ピックアップニュース

STOP! 命を奪う政治
大阪でオール近畿アクション2025

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御堂筋でアピールする兵庫協会からの参加者(上)、学生とやりとりしながら社会保障改善の必要性を解説した長友准教授(下写真左)

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発言者からの「がんばろう」との呼びかけに応じる参加者(上)、基調報告で医療機関の窮状を知らせ、行動を呼びかけた西山理事長(下)

 今こそ、医療・介護現場で安心して働き続けられるよう診療報酬・介護報酬の大幅な引き上げを--。11月1日に、大阪・難波御堂筋ホールで「オール近畿アクション2025」が開催され、近畿各府県から会場いっぱいの350人が参加。「世代間対立を超えて、国に生存権と社会保障の充実を求めていく」「『STOP命を奪う政治』『武器より社会保障』の世論を大きくしていく」とするアピールを拍手で承認し、終了後は大阪の御堂筋で通行する人々にプラカードなどを掲げアピールした。

 保団連近畿ブロック、全日本民医連近畿地方協議会、社会保障推進協議会近畿ブロックが賛同して開催したもの。兵庫協会からは西山裕康理事長、武村義人・近重民雄・川村雅之・白岩一心各副理事長、大澤芳清理事、松岡泰夫評議員、川西敏雄参与、森本愛薬科部世話人ら32人が参加。
 西山理事長が基調報告に立ち、医療機関は診療所の4割・病院の6割が赤字であり、大学病院・自治体病院も大幅な赤字に苦しむなど、地域医療が崩壊の危機に陥っているが、これは個別ではなく全体の構造に問題があると指摘。
 原因は長年の医療費抑制に物価高や人件費増が加わったことであり、国には国民の健康を守るために、医療機関の経営を支える責務があり、緊急的な財政措置と診療報酬の大幅増加が必要であると訴えた。
 また、政府が医療費抑制のために進めようとしている、医師数抑制やベッド削減、OTC類似薬の保険外しなどの患者負担増計画、医療DXの推進の問題点をそれぞれ指摘した。財源がないとして医療費が抑制される一方で、防衛費はこの5年間で急激に伸びているという矛盾を指摘し、世代間対立を煽る論に乗らず、地域医療を守るため、みなで力をあわせてがんばろうと呼びかけた。
 特別企画「若い人たちと共に考える社会保障」では、長友薫輝氏(佛教大学社会福祉学部准教授)が、ゼミ生とともに登壇し、学生からの質問に答える形で、「高齢者優遇」「現役世代負担軽減」という与党や一部野党の主張は、現役と高齢期という世代間の分断・対立を煽り、本来必要な社会保障費の増額等の議論が浮上しないようにするものだと解説。
 社会保障は税と共に所得再分配機能を担っているが、この間の自己負担増や給付抑制によりこの機能が低下しており、誰もが安心して生きられる社会をつくるためにこの機能強化が重要とした。また、生活保護減額を違法とした最高裁判決後も国が減額を取り消していないことを指摘し、日本にも、独立して政府の人権保障を監視する国内人権機関設置が必要とした。
 そして政策は自然現象でなく、理不尽な政策を改善していくことはできると強調し、人権保障の水準を引き上げるために、行動をしていこうと訴えた。
 各地からの参加者が、それぞれ滋賀県の県立病院を守る取り組み、京都府丹後地域の入院できない現状、大阪府の近大病院移転問題と南河内の医療の現状を報告した。
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