兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年11月25日(2119号) ピックアップニュース

第106回評議員会・臨時決算総会・第48回共済制度委員会を開催
今こそ診療報酬大幅引き上げを 諸富徹・京大教授が特別講演

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(下)25年度後半期の重点課題などを拍手で承認する評議員
(上)「社会的投資国家」をめざすべきと訴えた諸富教授

 自・維政権の医療費削減政策の問題点知らせ、社会保障充実の政治へ転換を--。協会は11月16日、協会会議室で第106回評議員会・臨時決算総会・第48回共済制度委員会を開催した。評議員ら106人が参加し、25年度前半期会務報告と後半期の重点課題および前半期予算執行実績と後半期見通しが承認された。特別講演は「『社会的投資国家』に学ぶ日本の戦略」をテーマとして、京都大学公共政策大学院教授の諸富徹氏が講演した。

 あいさつに立った西山裕康理事長は、政府の社会保障費抑制政策と防衛費増について「真に国を守るのは、防衛費ではなく、医療・社会保障だ。医療の価値を軽視する政治に私たちは声を上げ続けなければならない。『緊急財政措置と診療報酬の大幅引き上げを求める』医師・歯科医師署名にいっそうのご協力をお願いしたい」と呼びかけた。
 武村義人副理事長が6月以降の25年度前半期会務報告を行った。参議院選挙の与党の大敗を受け、裏金問題や旧統一教会問題への反省のないまま、自民・維新連立の高市政権が発足し、薬剤の保険外しや病床削減等、社会保障費削減の改悪を進めようとしていると振り返り、後半期の重点課題として、自民・維新政権の問題点を告発する政策宣伝活動を強め、医療・社会保障を充実させる政治に転換させるための世論を高めようと訴えた。
 討論では、診療報酬の大幅引き上げを求める声、オンライン資格確認義務化・保険証廃止の運動の継続・強化を求める意見、核兵器廃絶に向けた取り組みの強化、支部での企画など、18人から活発な発言があった。
 共済制度委員会では、特別報告として、大樹生命保険株式会社執行役員の山崎亮氏が「日銀利上げ局面での金融市場見通しと新たな運用手法の潮流」について講演した。
 特別講演で諸富氏は、現代の資本主義経済は「脱工業化・非物質化」する中で不平等・格差が拡大していると解説。日本では企業の設備投資も従業員の賃金も増えず、企業の配当と内部留保だけが増え続けているとした。一方、スウェーデンのように、人を大切にし教育や職業訓練などに政府が投資する「社会的投資国家」は経済成長・賃金上昇を実現できているとして、日本も「社会的投資国家」をめざすべきと訴えた。
 そのための社会保障政策の財源としては、フランスの一般社会拠出金(CSG)やアメリカの投資純利益税を参考に、利子や配当等資産性所得に課税する税導入の検討が必要と語った。
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