2025年12月05日(2120号) ピックアップニュース
燭心
一衣帯水の日本と中国の関係は、後漢書東夷伝57年、魏志倭人伝239年以来、それぞれ政治体制は変わっても現在も連綿と続いている。このような2大国は世界史的に稀有である▼近現代史において日清戦争(1894~95)で日本は勝利して台湾等を領有。賠償金2億テールは、当時の日本の国家予算の約3倍に相当する巨額であった。その金で日本は八幡製鉄所を作り(鉄は国家なり)近代化に邁進したが、第2次大戦で敗戦国となった。日本は中国を侵略し多大な被害を与えたが、蒋介石は「以徳報怨」(怨みを徳で報いる)で日本に賠償金を要求しなかった。日本は中国に巨額の借があったのだ。もし払っていたら日本は終戦後、高度経済成長できなかっただろう▼1972年、田中角栄首相が北京を訪問した。田中は暗殺を覚悟していたらしい。中国№2の周恩来が日中戦争中の日本の悪事悪行を述べたが、田中は黙って聞いて「だから日本国首相である私がこの北京へ来ているのだ」と述べた。毛沢東も阿吽の呼吸で決着。面子を重んじる中国人にとって、外国の頂点に立つ人間が首都・北京を訪問することは中国に対する最大の敬意である。毛沢東も田中角栄も極めて懐が深かった▼この時、台湾問題だけは「核心的利益」で棚上げされた。ポツダム宣言受諾時の日本の天皇制護持同様である。中国政府との対応はその点に尽きる。勉強家の高市氏はそのことを十分知っているのか? 日本のマスコミもその点への言及が少ない(鼻)



