兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年12月15日(2121号) ピックアップニュース

燭心

 厚労省の「歯科衛生士の業務のあり方等に関する検討会」をご存じだろうか。すでに4回目である▼目的は何か。1つはSRP(歯ぐきの下にある歯石を除去し、根面を滑沢にする)を衛生士業務とすること。これは良い。現在、補助業務だが、実際には専門学校などで履修し、調査では8割近くの衛生士が行っている。むしろ遅かったくらいに思う▼問題は衛生士による浸潤麻酔。根拠は24年の日歯の疑義照会に対する歯科保健課長の回答。衛生士による浸麻を認める一方、歯科医師が患者の状態や歯科衛生士の技量を鑑み、総合的に判断・指示の上で実施するとしている▼調査ではSRP時の浸潤麻酔の模型実習は6.0%、相互実習ではわずか0.7%、臨床・臨地実習で実施している施設は皆無だ。浸麻技術を学生に教えられる衛生士教官もほぼいない。少なくとも新卒の衛生士はその「技量」を身に着けていない▼全身疾患、アレルギー、迷走神経反射が隠れていることもある。事故の可能性も否定できない。万が一の場合に衛生士は守られるのか。札幌の歯科医師による医科救命救急研修のように当事者が責めを負わされるのではないかと危惧する。時期尚早の誹りは免れないだろう▼なぜそんなに急ぐのか。歯科医師の急激な減少に対応するためのように感じて仕方がない。国民歯科医療の安全のためにも合格者数が一定に抑制されているように思われる歯科医師国家試験を適正な資格試験に戻すべきだ。適正な国民歯科医療に乾杯。(酔)
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