兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2025年12月15日(2121号) ピックアップニュース

[報告] オンライン資格確認義務不存在訴訟 控訴審始まる
「保険証がなくなる」の誤り指摘し、勝利へ!  評議員 島津 俊二

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口頭弁論後の報告会で発言する島津先生(左)

 全国の医師・歯科医師が原告となりオンライン資格確認の医療機関への義務付けは違法であると訴えた、オンライン資格確認義務不存在確認等請求訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が11月26日、東京高等裁判所で行われた。参加した島津評議員の報告を紹介する。

 連日、TVでは「保険証がなくなる! 使用できなくなる!」と俳優が連呼しています。
 「資格確認書があるのだ!」といつもTVに向かって腹立たしく訴えています。
 思えば一昨年、保険証廃止が迫る時期に判決を得ようと、まだまだ訴えたいことがあるものの、医療機関のDX化による混乱と廃業を余儀なくされていることの実情を訴えて判決を求めたものでした。
 しかし、こちらの訴えは「完全無視」でした。こちらの訴えに正面から向き合っておらず反論すらなく、保団連、保険医協会を「一部の医療団体」と軽視する、まったく認識不足を露呈した、政府寄りの判決だったと言えます。
 控訴審では、原告団事務局長の佐藤一樹先生が、当初、医療界が制度化に慎重だったなか、国会軽視ともいえる、閣議決定のみでオンライン資格確認の義務化が実施されたことを訴え、また個人情報保護の点で高レベルの情報は当初、個別法をもって検討するとしたが、いまだかつて検討されたことはないと訴えました。
 またさらには、かつて指定難病患者のデータを5640名流出させた事実や、個人情報軽視の点でNTTデータ社が本人の承諾なしに利活用した事実を発言し、政府の姿勢を批判しました。
 そもそも、われわれはデジタル化に反対しているのではなく、医療現場の混乱も望んでいるものではありません。マイナンバーカードが任意である限り、マイナ保険証一辺倒の議論と「保険証がなくなる」などの誤った広報やポイントなどで集客する商業的誘導に問題があるのです。そうした拙速だとの批判があるにもかかわらず、医療DX化がもたらす問題を真剣に検討することなく、実施した政府、特にデジタル庁に問題があるのです。マイナ保険証はコロナ禍で対応に苦慮している医療界をターゲットに強引に進められてきました。医療機関は新たな経費を押し付けられ、廃業を余儀なくされた事例もあります。また、たび重なる取り扱いの変更は元々の制度設計に誤りがあったことを如実に表しています。
 当初、1415名の原告団でしたが、8名の方が亡くなられています。原告団は現在、1222名となっておりますが、亡くなられた方の無念を添えて、今後もたたかってまいります。
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