兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2026年1月25日(2123号) ピックアップニュース

主張
『OTC類似薬』保険外しは国民皆保険の破壊への道

 昨年6月、自公維の3党合意のもと、「骨太の方針」が閣議決定され、現役世代の保険料軽減のための「OTC類似薬」の保険外しが盛り込まれた。
 この後、高市自維連立内閣の発足を経て、12月19日に自民党と維新の会が政調会長間で制度設計について合意した。これは国民皆保険破壊への道であり、到底許されない。
 そもそも「OTC類似薬」の名称からして不可解だ。われわれが処方するのは厚労省が保険収載した「医薬品」、それをドラッグストアで販売できるようにした薬がOTCであるのに、医薬品のほうをOTC「類似薬」とする。国民騙しにもならない。また保険料の軽減は保団連の試算で1人月100円とわずかである。
 自維が合意した仕組みではさすがに完全な保険外しは断念され、77成分、約1100品目について薬剤費の25%相当(消費税別)を〝特別料金〟として患者から徴収し、残りをこれまで通り保険扱いとした。法改定により26年度中の実施をめざすという。1割負担の高齢者の負担は2倍以上にもなることになる。
 ここまで国民に負担を強いるのはなぜか? 言わずもがな「医療費亡国論」が綿々と続いているからで、「高齢化社会→医療費高騰→現役世代が大変」という論理だ。保険料の高騰、窓口負担の増加、国民皆保険制度は窮地に立たされている。
 「特別料金」としての制度改悪の動きは今回に始まったわけではない。保険とあわせて追加負担を徴収する「保険外併用療養」は範囲が拡充され続けている。特に〝選定療養〟の広がりは顕著で、前回改定時に、後発品のある長期収載薬品の希望時に後発品との差額25%を患者が負担する制度が導入されたのは周知のこと。導入時は問題になった差額ベッド代や、紹介状なしの大病院受診時負担も当たり前になっており、救急車の使用もすでに一部の自治体で対象とされている。
 2002年に健保法が改定された際、付則に「将来にわたって7割の給付を維持する」と明記されている。今回の「特別料金」の扱いは一体どうなるのか。
 2012年の厚生労働白書には「(社会保障は)雇用の創出を通じて、経済成長にも寄与する」とある。社会保障は国内の経済の好循環をもたらすけん引役であると、私たちも以前から主張している。
 国民皆保険制度の充実、制度設計の見直しにより、「社会保障制度」の名に値するものとすることこそ重要である。
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