2026年1月25日(2123号) ピックアップニュース
2月8日 総選挙実施へ--
命を「コスト」とみなす政治に審判を
2月8日、日本の医療と社会保障の行方を左右する衆議院議員総選挙の投開票が行われる見込みとなった。今回の選挙は、物価高騰と人手不足に苦しむ地域医療を公的責任として立て直すのか、それとも「制度の持続可能性」を口実に切り捨てを続けるのかが問われる、重要な選択の場である。医療分野中心に政権がすすめる政策を解説する。
賃上げ分の多くは、これまで同様、「評価料」方式に依存すると見込まれ、医療機関が自律的に経営判断の中で利用できる恒常的財源とは言い難い。
本来、賃上げや人材確保は基本診療料の抜本的引き上げで支えるべきであり、加算や評価料の積み上げは、事務負担を増大させるだけでなく、将来的な医療費抑制の調整弁として使われかねない。
同様の問題は、物価高騰への対応にも表れている。
政府は、2026年度以降の物価上昇分を「物価上昇に関する評価」として、基本診療料とは切り離した加算で対応する枠組みを示した。しかし、光熱費や委託費、消耗品費は医療提供に不可欠な恒常的経費であり、これを可変的な加算に押し込めれば、将来的な縮小や凍結による実質的な医療費削減が常態化しかねない。
さらに、地域医療の要である「かかりつけ医機能」の評価を巡っても、「効率化・適正化」を名目とした要件見直しが進められている。機能強化加算や各種管理料の整理は、継続的・計画的な療養管理の価値を過小評価することに他ならず、現場の医療機関経営を一層困難なものにする。
物価対応や賃上げ対応、機能評価、効率化を理由に、加算の積み上げや包括評価の拡大が進み、診療報酬体系は複雑化している。医療提供体制の土台は基本診療料で支え、必要な医療行為は必要な分だけ正当に評価する出来高払いを基本とする方向へ、診療報酬体系を整理・再構築すべきである。
これにより、年収約600万円の世帯では、外来医療の月額自己負担上限が1万8000円以上引き上げられる。政府は「保険料負担の軽減」を理由に挙げるが、その効果は月100円程度にとどまる。
一方で、がんや慢性疾患などで継続的に治療を受ける患者にとっては、受診抑制に直結する深刻な負担増となる。高額療養費制度は「最後の防波堤」であり、その機能低下は制度の根幹を揺るがす。
しかし、75歳以上の多くは年金を主な生活基盤としており、資産も老後生活の備えである。これを負担算定に組み込めば、受診控えや治療中断を招く可能性が高い。高齢者医療費の増加は人口構造によるものであり、個人に責任転嫁すべき問題ではない。
これらの負担増策に共通するのは、医療・介護を「権利」ではなく「コスト」と捉える発想である。患者、とりわけ高齢者に偏重した負担増ではなく、公的責任による医療保障の強化こそが、持続可能な社会保障への道である。
こうした負担増と医療縮小は政治の判断によるものだ。だからこそ選挙で意思を示すことが重要である。地域医療の未来を守るための一票を投じ、命を「コスト」とする政治からの転換を実現しよう。
改定率「+3%超」に隠された構造的問題
2026年度診療報酬改定では、政府は本体部分で30年ぶりとなる3%超の引き上げとする方針を示した。しかし、その内訳を見れば、手放しで評価できる内容ではない。賃上げ分の多くは、これまで同様、「評価料」方式に依存すると見込まれ、医療機関が自律的に経営判断の中で利用できる恒常的財源とは言い難い。
本来、賃上げや人材確保は基本診療料の抜本的引き上げで支えるべきであり、加算や評価料の積み上げは、事務負担を増大させるだけでなく、将来的な医療費抑制の調整弁として使われかねない。
同様の問題は、物価高騰への対応にも表れている。
政府は、2026年度以降の物価上昇分を「物価上昇に関する評価」として、基本診療料とは切り離した加算で対応する枠組みを示した。しかし、光熱費や委託費、消耗品費は医療提供に不可欠な恒常的経費であり、これを可変的な加算に押し込めれば、将来的な縮小や凍結による実質的な医療費削減が常態化しかねない。
さらに、地域医療の要である「かかりつけ医機能」の評価を巡っても、「効率化・適正化」を名目とした要件見直しが進められている。機能強化加算や各種管理料の整理は、継続的・計画的な療養管理の価値を過小評価することに他ならず、現場の医療機関経営を一層困難なものにする。
物価対応や賃上げ対応、機能評価、効率化を理由に、加算の積み上げや包括評価の拡大が進み、診療報酬体系は複雑化している。医療提供体制の土台は基本診療料で支え、必要な医療行為は必要な分だけ正当に評価する出来高払いを基本とする方向へ、診療報酬体系を整理・再構築すべきである。
高額療養費改悪-「セーフティネット」切り下げ
政府は2025年12月の閣僚折衝で、高額療養費制度の外来特例を含む見直しを政府方針とした。これにより、年収約600万円の世帯では、外来医療の月額自己負担上限が1万8000円以上引き上げられる。政府は「保険料負担の軽減」を理由に挙げるが、その効果は月100円程度にとどまる。
一方で、がんや慢性疾患などで継続的に治療を受ける患者にとっては、受診抑制に直結する深刻な負担増となる。高額療養費制度は「最後の防波堤」であり、その機能低下は制度の根幹を揺るがす。
OTC類似薬-医師管理からの排除と負担増
OTC類似薬をめぐっては、自民党と日本維新の会が合意し、2027年3月からの自己負担引き上げが狙われている。しかし、対象とされる薬の多くは医師の継続的管理のもとで処方されてきた薬剤である。負担増による受診・服薬控えは、症状悪化や重症化を招く可能性が高い。高齢者負担-「応能負担」の名による実質的負担増
連立政権合意では、高齢者の窓口負担を現役世代並みの3割へ引き上げることが課題とされ、医療費窓口負担に金融所得や資産を勘案する仕組みの導入も検討されている。しかし、75歳以上の多くは年金を主な生活基盤としており、資産も老後生活の備えである。これを負担算定に組み込めば、受診控えや治療中断を招く可能性が高い。高齢者医療費の増加は人口構造によるものであり、個人に責任転嫁すべき問題ではない。
これらの負担増策に共通するのは、医療・介護を「権利」ではなく「コスト」と捉える発想である。患者、とりわけ高齢者に偏重した負担増ではなく、公的責任による医療保障の強化こそが、持続可能な社会保障への道である。
2月8日政治を変える一票を
2026年4月からは社会保険料への上乗せも始まり、国民生活への圧迫はさらに強まる。一方で政府は病床削減を進め、医療提供体制の縮小を既成事実化しつつある。こうした負担増と医療縮小は政治の判断によるものだ。だからこそ選挙で意思を示すことが重要である。地域医療の未来を守るための一票を投じ、命を「コスト」とする政治からの転換を実現しよう。
▼高市自維政権がすすめる医療・介護改悪



