兵庫県保険医協会

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兵庫保険医新聞

2026年3月15日(2128号) ピックアップニュース

第51回衆議院総選挙の結果について
2026年2月25日 政策・運動・広報委員会

 2月8日投開票の第51回衆議院総選挙で、自民党は316議席を獲得し、衆院定数465の3分の2を単独で超えた。参院で否決・修正された法案の再可決が可能となり、政権の立法主導権は決定的に強化された。一方で比例得票率は36%台にとどまり、議席占有率との間に大きな乖離が生じた。とりわけ小選挙区では、得票約5割で8割超の議席を占めるなど、現行選挙制度が「多数」を増幅する構造が改めて浮き彫りとなった。
 今回の圧勝は、突然の解散と短期日程のもと、政策論争が十分に深まらないまま進んだ選挙戦の結果でもある。消費税、社会保障、防衛費、憲法改正、政治資金問題など本来の争点は相対化され、首相個人への評価やイメージが前面に出た。SNS上では強い言葉や単純な対立構図が拡散し、支持の可視化と実体が混同されやすい環境が形成された。
 他方、立憲民主党と公明党の合流による中道改革連合は、公示前勢力を大きく下回った。安保法制や原発政策をめぐる方針転換は、有権者に明確な選択肢を提示するには至らず、野党再編は十分な支持拡大につながらなかった。
 今後の政権運営には多くの課題がある。政治資金や旧統一教会問題に関する説明責任は依然として問われている。防衛費拡大と社会保障費の関係、消費税減税と財源の整合性、円安・金利動向を踏まえた財政運営など、国民生活と直結する論点は重い。憲法9条改正を含む安全保障政策の方向性も、社会的分断を深めかねない重大課題である。
 兵庫県においては、医師・医療従事者の不足、地域偏在、診療報酬水準、医療機関経営の逼迫など、地域医療をめぐる課題が山積している。防衛費優先の財政配分が続けば、医療・介護をはじめとする生活基盤への影響は避けられない。
 今回の結果をもって社会保障や平和主義の理念が否定されたとみるべきではない。問われているのは、理念を社会に届ける経路である。兵庫県保険医協会は、医療の公共性と国民皆保険制度の堅持を基本に、社会保障費の一方的抑制に反対し、必要な財源確保と地域医療の維持を求め続ける。憲法が保障する生存権と平和主義を尊重し、医療現場の実態を具体的な政策課題として提示し続けることが、いま一層重要である。
 民意が揺れ動く時代にあってこそ、冷静な検証と現場からの発信を積み重ね、次の政治過程につなげていく決意である。
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