兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2005年9月

【水曜】 下肢の静脈瘤のはなし

 私たちの身体の至るところには、動脈と静脈が走っています。足を走る動脈は、心臓から送り出された血液を流して酸素や栄養を送っています。静脈は、足にたまった炭酸ガスや老廃物を心臓に戻すパイプの役割があります。
 足の静脈には、弁という一方向にだけ開くとびらがあります。血液が重力に逆らって、足の先から心臓に向かって昇っていくのは、この弁の働きと静脈を取り囲む筋肉のおかげです。
 筋肉は、収縮運動をして静脈を圧迫して、血液を押し上げるポンプの作用をします。静脈瘤は、膝やふくらはぎの表面の静脈がこぶ(瘤)のようにふくれたり、曲がりくねった青すじになって見える病気です。これは静脈の弁がうまく働かなくなり、血液が逆流したり、よどんだりして起こります。
 静脈瘤ができると、足が重く疲れやすくなったり、ふくらはぎや足首がむくれたり、こむら返りが起こりやすくなり、時には真っ赤に腫れあがったりします。普通は夕方に症状がひどくなります。更にひどくなると、皮膚が黒ずんだり、治りにくい傷ができたりします。
 静脈瘤のできる原因はよくわかっていませんが、30歳代以上のお産の経験のある女性や、立ち仕事をしている人に多く見られます。
 静脈瘤の治療の一時的な方法として、医療用圧迫ストッキングを使う方法がありますが、これは根本的な治療法ではありません。また、入院して、静脈をこぶと一緒に抜き取る手術は、従来よく行われていた方法ですが、今はほとんど行われていません。現在よく行われているのは、太ももの皮膚に2~3cmの小さな切開をして、弁のこわれた静脈をしばる手術です。これにより静脈の逆流がなくなり、こぶ(瘤)が徐々に縮小していき、足のだるさやむくみなどの症状もとれます。もう一つの方法は腫れている静脈の中へ薬を注入した後しっかり圧迫して、静脈をへこませてこぶ(瘤)をつぶす圧迫硬化療法とよぼれる方法です。どちらにしろ入院の必要はありません。
 いずれにしても、かかりつけの医師に専門医を紹介してもらい、よくご相談の上お決めください。

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