兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2007年1月

【木曜】 たかが便秘、されど便秘

 便が出ない、気持ちよくスムースな排便ができない、お腹が張って苦しい、年をとるにつれてひどくなる、一日何回もトイレに行くがスッキリしない。こんな症状を訴えて診察に来る方はたくさんおられます。ところが現実は重い病気としては扱われず、たかが便秘ぐらいでと相手にもされず、浣腸をして帰ることがほとんどです。されど便秘。そんなに単純な問題ではないのです。
 便秘の皆さん、つよい下剤を飲む前に、まず大腸の検査を受けて下さい。大腸のどこかで腸が狭くなっていたり、癌が出来て便が通りにくくなっている事もあります。便に血が混じっているかどうかの検査だけでは安心できませんので、大腸内視鏡検査も受けて下さい。この検査を受ける前には下剤を飲んで便を充分に出します。下剤を飲むのが辛い方は、少し多めの浣腸をして便を出し、大腸の下の方、つまり直腸やS状結腸だけを検査する方法もあります。大腸の癌は圧倒的にこの直腸近くによく見つかります。ぜひ検査を受けて下さい。
 検査の結果、特に問題がなければ、ご自身の排便習慣を見直しましょう。例えば、毎朝決まった時間にトイレに行く、適度な運動を心掛ける、朝食は必ずとる、起床直後に冷たい水や牛乳を飲む、乳酸菌ドリンクを試す、食物繊維を含んだ飲み物や食べ物をとる、例えば海藻類や豆類、いも類、野菜類などをよく食べるようにする、水分を十分にとるなどです。これら生活習慣、食事療法によってかなり改善する方も多くいらっしゃいます。
 これでも駄目な方は、まず、消化器内科の先生に相談をして自分にあった薬を処方してもらってください。薬局に行って下剤を買うのは避けてください。最初から強い下剤を飲む癖をつけてしまうと、腸が常に痙攣した状態になり、下剤の量ばかり増えてしまい悪循環になってしまいます。便秘の中でも大腸の出口、つまり肛門部近くの異常によって排便困難をおこす事もあります。また、女性にみられる直腸癌や、肛門に傷が入り排便時にひどく痛む肛門裂傷なども肛門が狭くなり、慢性便秘になります。これらは肛門科専門医の診察を受けて下さい。
 たかが便秘と言っても色々な状態があります。専門医の意見を参考にし、快適な排便習慣を送れるよう工夫してください。

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