兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2007年11月

【月曜】 糖尿病網膜症(糖尿病による眼の合併症)

 糖尿病によって、カメラのフィルムにあたる網膜に影響が出たものを、糖尿病網膜症といいます。失明になる目の病気の中で、現在日本では一番多いものです。

網膜症の初期は、毛細血管に瘤ができ、肉眼的には網膜に赤い斑点(はんてん)として認められますが、自覚症状は全くありません。次に、網膜の出血や血液の流れが悪いところに、白い斑点が出てきます。この状態は、まだ「たち」の良いもので、単純型網膜症と言います。

病状が進行してくると、網膜の出血や白い斑点も次第に多くなり、視力も低下します。そして、もともと網膜にはない血管が生えるように出てきます。これを、新生血管と言い、血管自身が弱いために、目の中に大量出血を起こす原因となります。次第に「たち」の悪い状態になり、これを増殖型網膜症と言います。そのまま放置すると、網膜剥離(もうまくはくり)を引き起こし失明します。

治療は、単純型に対しては、血管を強くする薬や血液の流れを良くする薬を使います。病状が進行性で増殖型に移行しそうな場合は、それ以上悪くならないように、網膜にレーザー光線治療を行います。しかし、不幸にして増殖型への移行が認められた場合は、近年めざましい発達をとげた硝子体(しょうしたい)の手術で、なんとか失明を免れることが多くなりました。

しかし、なんといっても予防が第一です。まず、糖尿病に対する全身管理が大切です。血糖値のコントロール、食事療法、運動療法など、かかりつけの内科の先生とよく相談してください。網膜症の初期では、目に何ら自覚症状がありませんので、糖尿病と診断されたら、目に糖尿病の影響が出ていないかどうかの眼底検査をおすすめします。

網膜症の予防と早期発見のために、内科的全身管理とともに、かかりつけの眼科医のもとで、網膜症のない方でも半年に一度は定期的に眼底検査を受けましょう。

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