兵庫県保険医協会

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2008年6月

【金土日】後期高齢者医療制度とは

結論から言いますと、後期高齢者医療制度は世界にも類を見ない、高齢者いじめの悪法です。私たち兵庫県保険医協会では、この制度の中止・撤回を求めて運動しています。

 2006年6月に自民党、公明党の強行採決によって、後期高齢者医療制度が成立しました。政府の広報では、「担当医に心身全体を継続的に診てもらえる医療」とか「在宅で安心して療養できる医療」さらには「安心して看取ってもらえる医療」などとしています。しかしその根底には、どのようにすれば医療費が削減できるかという『医療費適正化計画』と呼ばれるものがあるのです。

 このように、医療費削減を目的にした後期高齢者医療制度には大きな問題点が2つあります。

一つは、75歳という年齢によって医療を差別することです。重度の身体障害を持つ65歳以上の人もまた、75歳以上なみと見なされます。年齢によって命と健康に差別をするということは、世界にも例を見ないひどい制度です。

もう一つは、すべての高齢者から死ぬまで保険料を徴収することです。4月になってテレビなどの報道で大騒ぎになっているように、どんなに少ない年金生活のお年寄りにも保険料がかかります。ある調査によると、高齢者の4割が月収10万円未満です。まさに生活を破壊する生存権侵害の、憲法違反の制度です。今の時点では一時的な減額措置がされていますが、本来の保険料はもっと高額になります。そして介護保険と同様に、2年に一度、保険料が上がる仕組みになっています。

 国民が受ける医療の中身については、「診療報酬」という、公的医療保険から給付される医療の値段と範囲を定めたものがありますが、これによって高齢者は、まず「できるだけ入院しないよう、入院してもごく短期間のみ」、そして「退院後は在宅か施設へ、治らない病気は入院しないで自宅で最後まで看取ってもらう」、さらに「通院治療は、あまり検査も専門医療も受けないで過ごす」という方向で貫かれています。

今年4月からの制度ではあまり露骨な内容にはなっていませんが、これまでお話した内容は随所に見られます。またこれも2年後に見直しするとされていますが、黙っていればいっそうひどいものになっていくことが考えられます。

このような、高齢者の人権を無視した制度は、改正・改善を求めるのではなく、国民のみなさんとともに、中止、撤回を求めていきましょう。

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