兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2008年12月

【水曜】 坐骨神経痛

坐骨(ざこつ)神経とは、脊髄の腰の部分から出る何本かの神経の集まりのことで、ふとももの後ろを通って、膝の後ろで脛骨(けいこつ)神経と腓骨(ひこつ)神経という2つの神経に分かれて、足まで分布しています。

この神経に沿うように、お尻から足にかけて激しい痛みを訴えるものを「坐骨神経痛」といいます。これは病名ではなく、症状の呼び方です。痛みが両側の脚に起こることはあまりなく、ほとんどが片側の脚に起こります。

原因としては、神経そのものに病変を認めることは少なく、腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア、腰椎分離症、腰椎すべり症、変形性脊椎(せきつい)症、腰部脊柱管(ようぶせきちゅうかん)狭窄症などと呼ばれる病気によるものが大多数です。

特に、青年期や壮年期には腰椎椎間板ヘルニアが、高齢者では腰部脊柱管狭窄症が、坐骨神経痛の原因となることが多いと考えられています。ただし、脊髄(せきずい)腫瘍、骨盤腫瘍、転移性脊椎腫瘍といった腫瘍によって起こる病気、また化膿性脊椎炎、脊椎カリエスなどの化膿性の病気、さらには梨状筋(りじょうきん)症候群、帯状疱疹(たいじょうほうしん)などの疾患が原因で起こることもありますので、注意が必要です。

坐骨神経痛の自覚症状は、お尻からふとももの後ろ、膝下(ひざした)の外側にかけて強い痛みがないか、脚を動かしたり、咳やくしゃみをしたりすることで痛みがひどくなるかがポイントです。

診察では、寝た状態で膝を伸ばしたまま脚を持ち上げる下肢伸展挙上(かししんてんきょじょう)テストを行って、坐骨神経に強い痛みを感じることや、坐骨神経の走行に沿って手で押さえると痛みが出ることなどが診断に役立ちます。さらに痛みに伴って脚のしびれや運動麻痺がないかどうかを診ます。

痛みが強いときには、痛み止めの薬を飲んだり、寝るときは横向きでエビのように丸くなったりするようにしましょう。

安静にしていてもなかなか痛みがとれないとき、また脚の運動麻痺が出てきたかなと思ったときは、そのままにせず、早めに専門医に診てもらうことをおすすめします。

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