兵庫県保険医協会

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健康情報テレホンサービス

2009年4月

【木曜】 アレルギー性鼻炎の減感作療法

 今年もスギ花粉症のシーズンとなりました。
 花粉症などアレルギー性鼻炎の治療法には、薬物療法やレーザー照射などがありますが、いずれの治療方法も対症療法、つまり発作を抑えるだけです。根本的に完治できる可能性のある治療方法としては、現在のところ、免疫反応を抑える特異的免疫療法という減感作療法だけです。
 この減感作療法とは、体質を改善して発作を起こさせなくする方法です。
 この方法は、まず、アレルギーの原因となるもの、つまり「抗原」と呼ばれるものを特定する必要があります。そして、特定された抗原のエキスを、1週間に1回から2回のペースで、薄い濃度のものから次第に濃度を上げながら、注射するという方法です。濃度が維持量まで達すると、注射の間隔を延ばしながら約2年間続けて、体質を改善していくというものです。同時に、症状にあわせて薬物療法を追加します。
 医療保険で使える抗原のエキスは、スギ花粉、ハウスダスト、アカマツ花粉、ブタクサ花粉、ホウレン草花粉、そば粉、絹、カビがあります。すべての抗原に対して治療用エキスがあるわけではありません。
 この治療法の問題点は、第1に、アレルギーの原因となる物質を注射するため、患者さんの体調などによって、喘息発作や蕁麻疹などの症状、まれにアナフィラキシーショックといわれる強いアレルギー反応が出てしまうことです。第2に、治療期間が長いため、定期的な通院が必要となることです。決められた日には必ず医師のところで注射を続けましょう。第3に、2年間治療すると60~70%の方は薬物療法が必要でなくなるか、減量することができますが、残念ながら30%の方は治療効果がないことがあります。しかも、このことを治療前に確認することがむずかしいという問題があるのが現実です。
 現在、保険適応となっている減感作療法は注射による方法だけですが、試験段階の方法として「舌下減感作療法」というものがあります。口の中の舌下に治療用エキスを含ませて、粘膜を通して体内に吸収させる方法です。この方法は、注射による方法よりも、アナフィラキシーショックが起こるのを抑えるという安全性や、通院回数を減らすことができるという負担感の軽減などが期待されています。
 詳しくは、専門医にご相談ください。

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